また、“通い親方”同様、強い弟子が育たない理由として、貴乃花部屋独自の「サポーター制度」もヤリ玉に挙げられているが……。「ファンの支援で部屋を運営するサポーター制度のせいで、物心両面で部屋を支えていたタニマチと疎遠になり、タニマチ経由の若手スカウトがなくなってしまったとの意見もあります。しかし、先の理事長選で八角理事長の背後に政治家や複数の企業の名が出たように、タニマチは癒着、協会や部屋運営への介入など、負の部分も少なくないんです。サポーター制度は決して悪くありません」(前出の関係者)

 そもそも貴乃花部屋に有望な若手があまり来ないのは、親方自らが一本釣りしないからだともいわれる。「熱心でないからではなく、“来てもらっても、もし挫折し、引退した場合、今の相撲界ではきちんと再就職を世話するシステムがない。それを思うと、親に私に任せてください、と胸を張って言えないから”と貴乃花親方は常々言っています。それでも現在、2人の関取がいます。部屋所属力士が12名しかいないことを思えば、その割合はなかなか優秀でしょう」(前同)

 部屋頭はモンゴル出身の貴ノ岩(26・東前頭6枚目)。もう一人の佐藤(19・十両13枚目)は、先の5月場所で新十両になった。「佐藤は10代での関取昇進というスピード出世に加え、5月場所での11勝4敗という好成績も注目の的です。居反りなどの奇手を持つことから“ポスト舞の海”として人気の新十両・宇良にも黒星をつけ、新十両対決を制しました」(同)

 その佐藤とともに、5月27日、高野山大学同窓会特別ゲストに招かれた貴乃花親方は、自身の弟子育成論をこう述べている。「弟子を一人でも多く強くさせて、日本の国技の相撲、相撲道に携わっていければと。この国のために弟子を育て、国の隅々まで役立ちたい思いでやらせてもらっています」 理事長は諦め、親方としての仕事に専念するという決意表明なのだろうか――。

 だが、別の相撲関係者は次の一手の可能性を語る。「新たな貴乃花部屋の近くには、理事長選で貴乃花親方支持を表明した山響親方の部屋が移転してくるのでは、という話もあります」 そのせいか、貴乃花親方は引き続き警戒されている。「一部報道で、貴乃花親方が稽古総見や研修会などの協会行事を欠席したことを、職務放棄だと非難されています。相撲部屋移転についての批判的な記事も、理事長選と同様、貴乃花親方に対する“紙爆弾”が続いているのかもしれません。しかし、貴乃花親方が積極的に反論しないのは、しばらくは“死んだふり”のほうが得策との判断からでしょう」(同) 目立たず騒がず。新天地で虎視眈々と再起を狙う貴乃花親方。死んだふりから起き上がる日も、案外近いのかもしれない――。

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