●篠原冴美「包帯を巻いた、血だらけの男に“おいで”と手招きされて……」

 霊感って子どもの頃、不思議な体験をすると開花するのかもしれません。初めて霊を見たのは小学校低学年の頃。その日、夕暮れまで友達と鬼ごっこをしていて、不意に近所の家に逃げ込んだんです。子どもだったので何も考えず……。あとで私を追いかけていた鬼役の女の子によると、「冴美ちゃんが家の壁をすり抜けていった!」

 もちろん見間違いかもしれません。でも、私はそこで妙な光景を見てしまったんです。その家の中にはなぜか鳥居がありました。そして鳥居の奥には、足がなく、包帯を巻いた血だらけの男の人が立っていて、さらにその周りを50~100体ほどの達磨が囲んでいたんです。達磨はすべて片目しか描かれていません。

 そのうち、包帯の男が「こっちにおいで」と誘ってきました。“行っちゃダメだ”と感じたその瞬間から私の記憶はなく、気づいたときは自分の家で寝ていました。鬼ごっこはしていたので夢ではない。でも、どうやって帰ったのかも分からない。この体験以降、私は霊感が芽生えてしまったようです。

 また、私は憑依もされやすくて。ある時、母と弟を乗せて車を運転していたときのこと。突如、霊に乗り移られ、目的地とは全然違う崖に向かって暴走したんです。家族も危険を察知し、弟が無理やり私を運転席から引き離してくれましたが、あのまま突っ走っていたら、どうなっていたのか――。

 ちなみに弟は、霊感がまったくないので、私のことはヘンなヤツ扱いです(笑)。そんな彼も唯一、恐怖体験をしていて、あるとき、友達と幽霊が出ると噂の学校に行ったそうなんです。で、門の前で写真を撮ったら、左端に白い女が……。「心霊写真だー!」と騒ぎながら、友達の1人が「キモいんだよブス!」と言ったそうなんです。

 弟もふざけて、女が写ったあたりに向かって、右足で蹴りを入れました。その帰り道、弟たちが運転する車は崖から落ちて大炎上。弟は右足を骨折、暴言を吐いた友達は前歯を折りました。幸い、命には別状はありませんでしたが、肝試しは危険ですよ。

 私が見た霊で一番怖かったのは夜、母の車に乗っていたとき。踏切前で、スーツ姿の中年男性が立っていました。遮断機が降り、電車が目の前を通り過ぎた瞬間――その男がフロントガラスにベチャッと飛んできたんです。さすがに悲鳴を上げましたね。ところが電車が踏切を過ぎて遮断機が上がると、男の姿はない。フロントガラスに血痕も残っていなくて……。

 今も、しょっちゅう霊は見えるし、写メを撮ると心霊写真だったり。見えない人が羨ましいですね。

篠原冴美 しのはら・さえみ
1992年8月29日、京都生まれ。T165・B87W57H87。DVD『Secret Lover 2』(シャイニングスター)が発売中。

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