この名作『キューティーハニー』は、どんな背景があって生まれてきたのだろうか。先生に聞いてみると……。

「どれかひとつと言われると困るんですけど、映画やドラマ、コミック……ありとあらゆるものを見ていて。それが頭の中で熟成されて、あるときポンと浮かんでくる。『マジンガーZ』は、横山光輝先生の『鉄人28号』に触発された部分があると思うし、ハニーの場合は、手塚治虫先生の『リボンの騎士』『鉄腕アトム』がベースにあるような気もするし……。えっ、デビルマン? うーん、何だろう!? あれは自分でもよく分からない(笑)」

 当時のプロデューサーから、“次は、色っぽいものを”というオファーによってスイッチが入り、頭の中の記憶の欠片が、かき回され、醸成して生まれたのが『キューティーハニー』なのだ。そして、主人公のハニーは、男5人兄弟で育った永井豪先生にとって究極の女性像なのだという。少女のままの姿で永遠に美しく、母のように自愛に満ちて優しい。男がピンチになると助けてくれる存在だ。

「西内まりやさんのハニーは、クールでかっこよくて、でも、素顔はすごく健気で優しい。しかも、ただごとじゃないほど強い! 胸元を覆った黒のバトルスーツに、ちょっと物足りなさを感じるハニーファンもいるかもしれませんが(苦笑)、僕が描きたかったハニーが、そのままそこにいる感じでしたね」

 AI(人工知能)に支配された漆黒の世界。心が張り裂けそうな哀しみから、仲間のために立ち上がる西内ハニー……。

「とにかくラストが感動的で。もう内容は完璧です。ただ……」

 ただ? 何でしょう?

「ひとつだけ注文があるとすれば、続編が見たい! それくらい、いい映画です!!」

 早くも続きが待ち切れない永井先生でなのであった!

永井豪 ながい・ごう
1945年、石川県輪島市生まれ。1967年に「目明しポリ吉」でデビュー。以降、「ハレンチ学園」「マジンガーZ」「デビルマン」「キューティーハニー」など数々のヒット作を世に送り出す。その作品の多くは海外でも高く評価され、国や世代を超えた幅広い読者層に支持され続けている

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