結局、外交とは「どうすれば自分の国の儲けになるか?」という駆け引きであり、「世界平和」をうたった慈善活動でない。トランプは日本だけに限らず、同じく米軍が駐留する経済大国のドイツ(GDP世界4位)や韓国(GDP世界11位)にも、全額負担の要求をしている。軍拡する中国に対して、他国に駐留費用を負担させて、できた金を自国の軍事費に回す。ごく自然な発想である。

「在日米軍が利益にならないと判断すれば、明日にでも日本から引き揚げる」とトランプは本気で考えているはずだ。そもそもアメリカにとって、日本に基地を置くメリットは年々薄まってきている。東アジアの重要拠点とされる沖縄も、中国から近すぎて危ない。本当は南シナ海に拠点を移したいのだ。

 すでに新しく基地を建てたい場所も決まっている。インドネシア北部、タンベラン諸島のベヌア島だ。この付近に艦隊を配備しておけば、アジアと欧米の貿易航路であるマラッカ海峡で存在感を強めることができる。南シナ海での覇権を強める中国を「一強」にしたくないのだ。

「米軍は撤退するから、浮いた金を使って自分たちで自衛隊を強化するなり、核を持つなり、ロシアと連携するなり、うまくやってくれ」

 それがトランプから日本へのメッセージだ。日本の重要性は、「家賃がタダなら、いてもいい」というところまで落ちている。金の切れ目が縁の切れ目である。

 このようにトランプの大統領就任後、国際情勢は激変し、日本は数多くの危機に直面するだろう。そのあたりの実情は2016年12月に刊行した『逆襲のトランプと大激変するアメリカ』(メディアックス)で詳しく解説している。今後の日本はどうするべきか? 世界の現実を見極め、リスクから身を守るための情報を提供しているので、ぜひ一読してほしい。(ベンジャミン・フルフォード)

『逆襲のトランプと大激変するアメリカ 日本人が知るべき「世界動乱」の危機』

◆ベンジャミン・フルフォード プロフィール

1961年カナダ生まれ。80年代に来日。上智大学比較文化学科を経てカナダのブリティッシュ・コロンビア大学を卒業。『日経ウィークリー』記者、『フォーブス』アジア太平洋支局長を務める。その後、フリージャーナリスト、ノンフィクション作家として活躍中。著書多数。

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