川崎プロで働いていたのは、結局1年くらいで、その後、雑誌デビューできたんです。デビューから数えると、もう50年近く漫画家として、やってきた。でも、スランプらしいスランプはなかったんですよね。“もう古いな俺”って感じたことは何回もあるんですけどね。でも、少ししたら、“俺は俺の絵でいいじゃん”って思えるんですよね。

 今は、漫画賞の選考委員とかやっているんですが、めちゃくちゃ絵が上手いってわけではない人でも賞を取っちゃったりしていますからね。だから絵が上手い下手、新しい古いって関係なくて、その時の需要に沿った話が書ければ、何歳でもやっていけるかなって思いますね。

 今の時代は、いわゆるヒーローモノより、日常を切り取ったほうがいいと思うんですよね。だから、週刊大衆で始まる新連載も、ざっくり言えば、『感じる人妻』のゴルフ版。昔、有名なプロゴルファーだったけど、ある事情から引退して、ゴルフ場で働いている50くらいの男が主人公。彼のゴルフ場にやってくるお客さんとのトラブルだったり、泣ける話を描いていけたらなと思っています。

 言うと、簡単なんだけど、これがまたなかなかできない(笑)。でも、もうちょっと苦労したいなって思うんですよ。新しいジャンルに挑戦して。だから、ゴルフものもいいんだけど、時代物とかも描いていきたいなって思う。着物が描きたいんですよ。着物を描くのって本当に難しくて、どうしても体が入らないんですよ。パリパリになっちゃって。

 描きたいものがあるうちは、まだまだやっていけるなと思いますね。流して描き始めるとあれですけど、1作1作しっかり描いていけば、見てくれる人は、見てくれると思うので、漫画を描けるうちは、描いていきたいですね。

撮影/弦巻 勝

かざま鋭二 かざま・えいじ
1947年6月10日、東京都生まれ。高校を中退し、17歳で佐藤まさあきプロに入り、66年に貸本漫画家としてデビュー。その後、川崎のぼるプロを経て、69年に『栄光への5000キロ』で一般漫画誌デビューを果たす。90年からスタートし、現在も連載中のゴルフ漫画『風の大地』が大ヒットを記録。同作で、小学館漫画賞青年一般部門を受賞。
かざま鋭二氏の新連載『球追う日日』が、週刊大衆2月27日発売号よりスタート!

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2