「たとえば、“糸リフト”という施術があります。顔のたるみを改善するために、顔の中に糸を入れて皮膚を引っ張り上げる手術ですが、結論から言えば、これはまったく意味のない手術です。なぜなら、数か月すれば、引っ張り上げられた皮膚は元に戻ってしまうから。この手術を何度もやって、数十万円を失って初めて、無意味なことだったと気がつく患者さんもいます」

 その他、さほど効果が変わらないにもかかわらず、あたかも画期的な最新医療と思わせるネーミングをつけ、「結局は患者の金をドブに捨てさせている」クリニック、そして医師が存在するというのだ。

「今、若い医師は収入面だけを考えて美容整形業界に入ってきてしまう。大手の求人は、未経験の医師の1年目の年収が2000万円(!)ですからね。僕らの時代は“やっぱり外科がカッコいい”という思いで、この世界に進み、若手の頃はそれこそ不眠不休で徹底的に技術を鍛えられました。今、患者のことだけを考え、志を高く美容整形医療に従事している医者は、10人に1人しかいないと思います」

 お隣の韓国では死亡事故が相次ぎ、2012年には日本でも脂肪吸引手術時に腹壁や腸を傷つけ、脱水症に至らせ死亡させたとして、医師に有罪判決が出ている美容整形医療の世界。

「もちろん、医療行為なので、防ぎようのないトラブルが生じる可能性はあります。ただ、患者に手術前にリスクをしっかりと提示し、事故が起こったときに適切な対応ができるかどうかは、医者の技量次第。今、美容整形業界は、変わらなければいけない時期なんです」

 竹江氏の声が届かなければ、美容業界に未来はない。

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2