今年からG1に昇格した「大阪杯」(芝2000メートル)で、キタサンブラックがまたひとつ進化した走りを見せてくれました。

――初代王者として歴史に名前を刻みたかった? もちろん、そういう気持ちもありました。なんでも一番最初というのは気持ちがいいですからね。

――オーナーである北島三郎さんの喜ぶ顔が見たかった? 当然、それもあります。このレースに限らず、オーナー、調教師の先生、関係者、そしてファン。すべての方の思いを最後に託されるのが騎手ですから、勝って喜んでもらいたいという気持ちは、いつでも持っています。

 でも今回、何よりも強く思っていたのは――年度代表馬として恥ずかしいレースはできないという矜持でした。レース後、北島さんが、来年もキタサンブラックに走ってもらいたいという気持ちになりましたと、年内での引退を翻されたようですが、いずれにしても、彼と一緒にレースができるのは、それほど多くはありません。その一つ、一つを、すべて勝つつもりで、これからも騎乗します。

――今後、ますます、マークが厳しくなるのでは? それも望むところです。今回は展開が読みやすいメンバーだったこともあり、レースはほぼ想定した通り。出走した全馬が、キタサンブラックをマークしていたことも含めてです。3コーナー過ぎでGOサインを出したのも、僕の中では想定内。早すぎるスパートでしたが、キタサンブラックなら大丈夫という確信がありました。先に行きたい馬を行かせて、じっくりと構え、他の馬が動く前に、先に、先に動いて、後続の脚を封じ込める――スタートからゴールまで、レースを支配していたのはキタサンブラックでした。

 昨年がキタサンブラックの完成形かなと思っていましたが、精神的にも肉体的にも、今年はさらに強くなっていました。この先、どこまで強くなるのか!? 考えただけで、ワクワクします。次は……4月30日、「天皇賞(春)」。GWのまっただ中です。皆さん、新幹線、ホテルの予約はお早めに(笑)。

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