カフェ文化の担い手「バリスタ世界王者」井崎英典氏トークイベントレポートの画像
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 4月14日、東京下北沢の本屋B&Bで、『BREAK! 「今」を突き破る仕事論』(双葉社刊)の出版トークイベントが行われた。イベントに、著者の川内イオさん(写真左)とともに登壇したのは、本に登場する10人の世界王者の1人、2014年の「ワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)」のチャンピオンの井崎英典さん(27・写真右)。イベント冒頭に、井崎さんがいれた“世界一のコーヒー”が配られるなど、参加者にとってもホットな1日となった。

 トークイベントに先だち、自身がいれたコーヒーを参加者にふるまう井崎さん。当日、使ったコーヒー豆は、エルサルバドルの“フィンカ・ヒマラヤ”という豆。そして、このコーヒー豆を挽くコーヒーグラインダー(コーヒー豆を挽く器具)は、福岡県博多で製造されたものだという。

「このグラインダーいくらだと思います?」と参加者に問う井崎さん。「100万円?」という声が上がると、「高い! そこまではしないんですけどね~」と笑顔でやりとり。お値段40万円というこのグラインダーは、元Appleの技術者で、スティーブ・ジョブズの片腕だった「博多弁がペラペラ」(井崎さん)のアメリカ人が作ったものだという。やはり、いいコーヒーグラインダーで挽くとコーヒーの味は変わるというが、それにも増して重要なのは“水”とのこと。

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「1杯のコーヒーのうち、コーヒーの要素は10%しかないんです。あとの90%は水。だから、おいしいコーヒーを入れるには、水がとても重要なんです」と井崎さんは言う。この日は、コーヒーに必要なミネラルを水に追加した、特製の「コーヒーのフレーバーが良く出る水」が使用された。

 著者の川内さん司会のもと、アジア人初“バリスタ世界王者”に登り詰めた井崎さんの半生を振り返るトークが始まる。

 本人が「中学のときのテストの最高の点数は100点満点中9点だった(笑)」と語るように、井崎さんは大の勉強嫌いだった。高校を中退し、さまざまなアルバイトの末に行きついたのが、地元福岡県の、父のコーヒー店だったという。

「当時の僕は、まゆ毛も剃っていてね(笑)。でも、そんな僕にも、常連のお客さんは“ひで君、おいしいコーヒーをありがとうね”って言ってくれるんです。その“ありがとう”という言葉が嬉しくて。でも、今でもその“ありがとう”が、仕事をする原動力になっていますよ」と井崎さん。

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