薄暗い道で、人相の悪い男たちに囲まれたら――。「そんなときは、火事だ! と叫びなさい」。そのように小学校のとき習った。

「助けて!」と叫んでも、あたりに住む人は、事件に巻き込まれるのが嫌だから、なかなか外には出てきてくれない。「火事だ!」と叫べば、よし、消すのを手伝ってやろうと外へ出てきてくれるから、「火事だ!」と叫ぶのですよと、先生は教えてくれた。これはアメリカも同じで、夜道で恐い目に遭いそうになったら、「ファイアー(FIRE)!」と叫ぶのですよと、小学校で教えているそうだ。

 こんな話を紹介したのも、じつは先日、日本ダービーで「火事だ!」という暗号で出たからである。7枠に入った3頭の頭文字が、つなげると「カジダ」になっていたのだ。
13番(カ)デナ
14番(ジ)ョーストリクトリ
15番(ダ)イワキャグニー

 この「火事だ!」という叫びは、何を買えという暗号なのか。叫びは英語でいうとクライ(CRY)だが、日本ダービーの出馬表を見たら、ハーツ「クライ」の産駒が2頭出ていて、揃って2枠に入っていた。そしてそのうちの1頭、スワーヴリチャードがちゃんと2着に追い込んで来たのだから、新理論というのはすごいね。

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