朝ドラ『ひよっこ』佐々木蔵之介は、自身の幸せをつかめるのか!?の画像
朝ドラ『ひよっこ』佐々木蔵之介は、自身の幸せをつかめるのか!?の画像

 朝の連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)が、放送終了まで残り1か月を切った。早くも“ひよっこロス”になりかけているが、最近、このドラマの良さとは何だったかと、ふと考える。やはりなんといっても、キャラクターの存在感。これに尽きるのではないか。もちろんよく練られたストーリーがあることでドラマはその魅力を維持できるのだが、『ひよっこ』は茨城と東京、両方の人々にスポットが当たる演出で、それぞれのキャラクターを丁寧に描いている。先日の放送も見事だった。

 9月9日の放送を振り返ってみよう。茨城では宗男(峯田和伸/39)から花の栽培を始めることを提案され、実(沢村一樹/50)たちは花農家になることを決意する。

 一方、東京では、ついにあの家族関係に発展があった。すずふり亭の近所にある和菓子店、柏木堂で働く由香(島崎遥香/23)のもとを父である牧野省吾(佐々木蔵之介/49)と祖母の鈴子(宮本信子/72)が訪れる。「ゆっくりでいいんだけど、失くしたもの取り戻さないか、俺たち」と省吾。由香は「鈴子さんと買い物に行きたい、お父さんと映画を観に行きたい」と、今まで押し殺していた娘としての想いを吐露し、涙を見せる。牧野家に横たわっていたわだかまりが雪解けした瞬間だった。

 そして、すずふり亭にも新しい風が。秀俊(磯村勇斗/25)らが新メニューを、みね子(有村架純/24)が新しい制服を作ることが決まったのだ。

 普通、いろいろな場面を同時に描くと、話がとっちらかってしまうものだが、それぞれのキャラづけがここまでの5か月で完了しているので、これだけの展開があってもまったく苦にならないのが『ひよっこ』のスゴさだ。これを成り立たせているのは俳優それぞれの力のなせる技。特にこの放送回は佐々木蔵之介が演じる省吾の存在感が際立った。少ないセリフ数で、さすが佐々木蔵之介という渋い味を出していたのだ。

■佐々木蔵之介と和久井映見の恋の行方は?

 彼のキャスティングが決まったときから、私は胸を躍らせていた。佐々木蔵之介といえば彼の出世作、2000年放送の朝ドラ『オードリー』が思い出される。このときは若手の人気時代劇俳優役だったが、あれから17年を経て佐々木は朝ドラの脇を見事に固める名優に成長し、“独身俳優最後の砦”として世の女性たちの熱いまなざしを受ける人気を獲得した。こういう出世を眺められるのも、朝ドラの良さだ。

 由香との和解で、省吾のクライマックスは一応終了。しかし、これからも省吾の活躍する姿が見られるのではと、期待している。注目すべきはこの放送回の「来週の予告」だ。予告のラストはなんと省吾の意味深なアップだった。省吾の身にどんなことが起こるのか、愛子(和久井映見/46)との恋の行方は? これまで以上の見せ場が到来する予感。佐々木蔵之介ファンならずとも、こりゃ注目しないわけにはいかない。(半澤則吉)

朝ドラ批評家半澤の朝ドラブログ
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