一方、今年のU-18日本代表で「例年よりも弱い」と言われていた投手陣だが、蓋を開けてみると、意外と頑張りが目立った。特筆すべきは、田浦文丸(秀岳館)。米国、キューバ、オランダ、オーストラリア戦で火消し役として活躍し、日本代表の中で唯一、ベストナインに選ばれた。とはいえ、伊勢氏の採点は全体的に厳しい。「目立った投手がいなかったな。きめ細やかにきっちりと放れる、コントロールのいい投手がいなかった。強いて言えば最終戦で投げた三浦銀二(福岡大大濠)かな。スタミナがどうかやけど、面白いと思うよ。でも、この子も進学か……。大学にいたら潰されるよ。勉強せんで金も稼げるから、将来プロに行きたいなら、早く入ったほうがいいと思うな」

 投打の両面で見せつけられた、世界の壁。日本野球が世界と戦っていくためには、何が必要なのだろうか。「今の147~8キロ以上の速い球に対応するには、バッターはスイングを速くするのが第一。低めの速い変化球は、追い込まれるまで捨てる。とはいえ、並行して打てるように練習をする必要もある」

 続いて、投手の場合は、「日本人ならではのコントロールのよさを守りつつ、速い変化球を覚えるべき。ストレートが143~4キロなら、ツーシームも140キロそこそこないとダメ。日本のピッチャーは、あまりに“きれいなストレート”すぎる。それじゃ打たれるし、そのうえ、ツーシームが130ナンボじゃ、世界で通用せんわ」

■日本は韓国にもう勝てない!?

 こうした“ツーシーム時代”への対応を、すでに海外のライバルたちは終えているという。「アメリカはもちろん、韓国もとっくに、そうやって若い選手を育てている。今、日本のプロチーム対韓国のプロチームなら、まだ日本が勝つやろうけど、オールジャパンとオールコリアだと、もう勝てない。10回やったら負け越すと思うわ。日本でも、新しい時代の野球をリトルリーグ、シニア、高校、大学、社会人と教えていかないといけない。昔の指導法のままだと、いけない。ツーシームやカットなどの早い変化球、この球をどう打てるようにするか、これがワシの死ぬまでの課題や」

 このままでは、世界との差は開くばかり。伊勢氏の提言のように、“新時代”に対応する指導法の確立が急がれる。

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