熟年夫婦の離婚危機には「旅行」が一番効果的な理由とは!?
渡哲也や高島礼子が出演したドラマ『熟年離婚』(テレビ朝日系)は異例の高視聴率を叩き出し、タイトルの”熟年離婚”という言葉は2005年の流行語にもなった。このドラマでは、いわゆる団塊世代の一斉定年問題を扱っていたのだが、ドラマから12年経った現在に至るまで、熟年離婚の割合は減るどころか増加傾向にあるという事実をご存知だろうか? 厚生労働省の調査で、2016年度に認められた離婚のうち約20%が熟年離婚だったという結果が出ているのだ。
意外とすぐそこにある!? 熟年夫婦の離婚危機
そもそも、熟年夫婦とは?
熟年夫婦は一般的には50代以降で結婚生活を20年以上継続している夫婦のことを指し、この熟年夫婦が離婚すると熟年離婚になる。いわゆる熟年者同士の結婚であったとしても、婚姻期間が短い場合は熟年夫婦とは呼ばない。
“ウチだけは大丈夫”が危ない!? 熟年離婚の危機度チェック
それでは、さっそく自分たち夫婦に熟年離婚の危機はどれぐらいあるのか、簡単なテストでチェックしてみよう。夫である自分は、この10個の質問にいくつ当てはまるだろうか?
1)過去に不貞問題を起こしたことがある
2)妻と子どもの仲が非常に良い
3)家事はやったことがない
4)自分の通帳がどこにあるのか知らない
5)妻の看病をしたことがない
6)ペット嫌いだ
7)子どもはいない/すでに成人した
8)夫婦の寝室は別々だ
9)妻は多趣味で社交的なタイプだ
10)リビングに居場所がない
《テスト結果》
2個当てはまった → 大丈夫:熟年離婚の可能性はほとんどなし
4個当てはまった → ちょっと危険:熟年離婚の可能性あり
6個当てはまった → かなり危険:熟年離婚の可能性は高い
8個当てはまった → 本当に危険:熟年離婚の可能性MAX
長年連れ添ったのに、なぜ? 熟年夫婦が離婚に踏み切る理由とは!?
子どもは育ち、住宅ローンの完済も見えてきた……。今までずっとうまくやってきたのに、突然なぜ? 熟年離婚に至る理由を探ってみると、そこには長年連れ添った熟年夫婦だからこその離婚原因があった。
・定年した夫が家にいるのがイヤ
熟年離婚率が高いのは、一般的に「夫は外で働き、妻は主婦として家を守る」タイプの家庭だと言われている。このような家庭生活を20年も送ってきた場合、夫の定年退職は非常に大きな環境変化を与える。定年退職した夫が平日の日中から在宅することになると、ささいな生活習慣の違いが浮き彫りになるだけでなく、夫の存在自体が妻のストレスになりかねない。
・会話がない
結婚当初は普通に会話していたのに、年々コミュニケーションが減ってきたと感じる夫婦は多い。そんな事実に対して、夫は「長年一緒にいるのだから会話が減って当然」「あえて言葉にしなくても、妻とは分かり合えている」などと思っているが、妻は必要最低限の用件しか話さず、自分の話に耳をかたむけようとしない夫に、大きな不満を感じていることが多い。「二人なのに孤独」ということほど寂しいことはなく、満たされない想いが募っていくのだ。
・介護問題
この介護問題の中には義父母の介護はもちろん、配偶者の介護も含まれる。妻が夫の両親を介護するケースにおいて、息子である夫が無関心で感謝やねぎらいの言葉を口に出さなければ、妻が怒るのも無理はないだろう。それどころか、最近では親の介護を経験した妻が、夫の介護から逃れたい一心で離婚を決意することもあるという。「介護離婚」「介護前離婚」といった言葉もあるのだ。
・子どもの自立
子どものために……という理由だけで離婚を避けていた夫婦は、子どもが成人して自立してしまえば、結婚生活を続ける理由がなくなってしまう。また、それまで離婚を考えていなかった夫婦でも、実際に子どもが巣立つと、達成感とともに喪失感を感じ、結婚生活を維持していくモチベーションがなくなることがある。
・年金分割制度
離婚しても夫婦間で年金を分割できる制度がある。分割できるのは厚生年金に加入しているサラリーマン夫婦だけだが、申し立てが認められれば、サラリーマンの妻は離婚しても年金をもらうことができる。この年金である程度生活が安定するとなれば、妻にとって熟年離婚の壁はグンと下がるだろう。
熟年離婚のデメリット
熟年離婚の代表的な理由はよく分かった。確かに離婚すれば、さまざまな問題やストレスから解放されて、自由が手に入るかもしれない。しかし、その代わりに失うものはないのだろうか?
・孤独感を感じやすい
熟年離婚の最大のデメリットと言われているのが、喪失感や孤独感による精神的なダメージだ。特にお盆やクリスマス、お正月などのイベント時は、大きな寂しさに襲われる可能性がある。また、長年連れ添った伴侶を失ってみて、初めて相手の大切さに気づくことも多い。
・健康管理が難しく、いざという時が不安すぎる
子どもを頼ることができたり、人を雇う余裕がある人は別だが、基本的にはいざというときに助けてくれる人がいなくなる。熟年以降はいつ何が起こってもおかしくない年齢だ。病気になっても看病してもらえず、病院も一人で行かなければならないのはつらいだろう。また家事経験のない夫は、熟年離婚すると一気に食生活が荒れて体を壊すことが多い。
・あとから後悔しても、再婚が難しい
熟年離婚したあとに孤独感や健康管理の難しさを知って、もう一度結婚したいと思っても、年を重ねるごとに再婚は難しくなる。お互いの家族や財産など、男女ともに背負うものが多くなり、若い頃のように本人同士の気持ちだけでは結婚できなくなるからだ。
ポイント解説:熟年離婚の金銭問題
長年の結婚生活によって1つになった財布をキレイに2つに分けることは難しい。熟年離婚に金銭問題はつき物だということも覚えておいてほしい。
【熟年離婚で妻に渡さなければいけないお金】
・共有財産の半分
夫婦で築いた共有財産の半分は妻に所有権がある。退職金は実際に支給されるまで共有財産にならない。
・年金の分割分
厚生年金のうち婚姻期間に応じた報酬比例部分は妻が受け取ることができる。厚生年金の保険料は給料に応じて増減する報酬比例制度に基づいて決められる。サラリーマンの妻が貰えるのは報酬比例として支払った分の年金の半分。
・慰謝料
自分にに非がない場合は払う必要はない。
・養育費
子どもがいても、成人していれば払う必要はない。
【熟年離婚で妻に渡さなくてもよくなるお金】
・相続財産
自分の家族や親から相続した財産は、離婚したら渡す必要はない。
・年金の一部
自分に万が一のことがあったときのための、遺族年金や加給年金は渡さなくてもよくなる。
・保険金の利益
生命保険の受け取り人を変更すれば、渡さなくてよくなる。
参考にしたい芸能人の熟年カップル、それぞれの生き方
とはいえ、最終的に夫婦のことを決めるのは、本人たちということになるだろう。そこで、芸能人の熟年カップルの生き方を参考にしてみたい。
熟年離婚組
・片岡鶴太郎:結婚38年/子ども3人
約30年間の別居生活を経て離婚した。離婚理由は生活スタイルに違いがあること、子どもが成人したこと、夫婦ともに還暦を迎えたことなど。
・森進一&森昌子:結婚19年/子ども3人
森昌子は結婚して家庭に入ったが、2001年に『NHK紅白歌合戦』に出演。その後、森進一のよびかけで、夫婦が共演する『ジョイントコンサート』で限定的に芸能活動を再開。しかし、主婦業と仕事を両立することが大きな負担となり、2005年に離婚した。
・布川敏和&つちやかおり:結婚23年/子ども3人
つちやは結婚を機に芸能界を引退して家庭に入り、専業主婦になった。子育てが落ちついたため、つちやは2012年に芸能界へ復帰。しかし、2014年4月に割烹料理店店主とつちやの不倫が週刊誌に報じられ、6月に協議離婚した。
別居婚組
・内田裕也&樹木希林:結婚44年/子ども1人
1973年に結婚したが、結婚期間のほとんどを別居状態で過ごしている。過去には内田によって提出された離婚届に対して、樹木が無効の訴訟を起こすという珍事件もあった。現在では2人ともさまざまなメディアで離婚の意志がないことを明らかにしている。
・加山雄三&松本めぐみ:結婚47年/子ども4人
1970年に結婚。夫婦で米国永住権を保持しており、その権利を失効させないために松本が1年の大半をアメリカの家で過ごしている。夫婦円満の秘訣は一緒に過ごさないことであり、離婚を前提とした別居ではなく、お互い自分の人生を楽しむ卒婚スタイルを選んだということだ。
ラブラブおしどり組
・ヒロミ&松本伊代:結婚24年/子ども2人
松本の一目惚れがきっかけで1993年に結婚。夫婦ともにテレビなどで相手の話をすることが多く、仲むつまじいおしどり夫婦っぷりは有名だ。夫婦円満の秘訣は毎日のキスとお互いに褒め合うことだとか。
・三浦友和&山口百恵:結婚37年/子ども2人
CM撮影で出会った2人は、共演するテレビドラマや映画をヒットさせて”ゴールデンコンビ”と呼ばれた。山口は結婚を機に芸能界を引退した。三浦いわく、夫婦が長続きするのに必要なのは相性の良さとのこと。
・唐沢寿明&山口智子:結婚22年/子どもなし
業者を装って山口の自宅に侵入して襲おうとした男2名に、たまたま部屋にいた唐沢が応戦したため交際が発覚した。2人はたびたび仲の良い結婚生活について語っており、現在でも毎晩同じベッドで手をつないで寝ているらしい。
いつまでも仲良し! 今日から実践したい夫婦円満のコツ
熟年カップルにはさまざまな在り方があることが分かったが、離婚や別居をせずに仲良く暮らしていけるなら、やはり、それに越したことはないだろう。最後に、今日から実践したい夫婦円満に効く5つのコツを簡単に紹介しておきたい。
・きちんと会話する/一緒に食事する
あうんの呼吸でコミュニケーションが成立してしまうのが、熟年夫婦の良さではあるが、「妻の考えていることは大体分かっているつもり」や「妻にはすべてを言わなくても伝わる」という考え方はとても危険である。きちんと会話するためにおすすめなのが、日に一度は対面して、一緒に食事する時間を設けることだ。話の内容は何でもいいが、食事は妻に感謝やねぎらいの言葉を伝える良いチャンスになる。妻側からの熟年離婚の理由として最も多いのは「夫からの感謝の言葉がない」ということなので、仕事で疲れて帰ったとしても「これうまい」「今日もありがとう」ぐらいの言葉はかけたいところだ。
・スキンシップをとる/一緒に寝る
熟年夫婦とはいえ、男女の仲には変わりない。普段からキスやハグ、手をつないで歩くといった習慣がある夫婦ならいいが、ご無沙汰気味の夫婦の場合、いきなり外出先でスキンシップを取ろうとするのはハードルが高いだろう。まずは家庭内でのスキンシップから再開してみよう。夫婦が最も自然にスキンシップを取るには、同じ寝具で眠るのが一番だ。自分のいびきや寝相の悪さなどが理由で、夫婦の寝室を別々にしている場合は、一緒に寝られるような対策を考えてみよう。
・妻を尊重する
「妻を尊重する=妻の言いなりになる」ではない。ただ思いやりの気持ちを持って接するということである。熟年夫婦とはいえ他人同士であり、同じ屋根の下でお互いが気持ち良く生活するためには、ちょっとした気遣いや相手への感謝の気持ちを忘れてはならないだろう。日頃から妻を尊重する言動が足りていないと思う人は、記念日や誕生日などのイベントごとを大切にすることから始めてみてはどうだろうか?
・共通の趣味や話題を持つ
夫婦で一緒に何かをするという共通体験は会話やスキンシップを生み出し、2人の間の架け橋になってくれる。食事や映画鑑賞などのデートはもちろん、近所のスーパーへの買い出しなどでもいいだろう。また家庭内の癒しになって共通の話題にもなるため、ペットを飼うのもおすすめだ。
・程よい距離感を保つ
良好な夫婦関係には過干渉や無関心ではなく、信頼を前提とした適度な距離感が欠かせない。お互いが心地の良い距離感を見つけ出し、相手と一緒に過ごす自宅が2人にとって一番安らげる場所になるようにしたい。定年になったからといって夫が一日中リビングの定位置に居座っていては、妻の息が詰まってしまう。ある程度はお互いを干渉しない自由な時間と空間を確保しよう。
熟年夫婦に「旅行」が効果的な理由とは?
いつまでも仲良しでいるために、熟年夫婦にぜひおすすめしたいのが「2人で旅行に行く」ことである。実は旅行には上記した夫婦円満のコツが凝縮されているため、2人の関係性をより良いものにするのに非常に効果的だからだ。
・旅行前
目的地や宿泊先選びなどが必要なため、行く前の計画段階から一気に会話が増える。
・旅行中
一緒に食事をして同じ部屋に宿泊する。日常から解放されて新鮮な気持ちになるせいか、普段よりスキンシップが取りやすくなって、感謝や思いやりの気持ちも伝えやすい。適度な息抜きをするために、別行動タイムもあらかじめ設けておくといいだろう。
・旅行後
共通の思い出は夫婦の話題になり、お互いに旅行が好きになれば共通の趣味になる。最初はパッケージの国内ツアー旅行でも十分楽しいが、慣れてきたらすべて自分たちで宿や行き先を決める、海外旅行に挑戦してみるのもいい。日々の生活がマンネリ化しがちな熟年夫婦にとって、刺激的なスパイスになること間違いなしだ。
まとめ
「20年目の離婚なんて青天の霹靂だ!」と叫んでいるのは、家族中で自分だけだった……。そんな恐ろしい事態にならないように、妻との夫婦関係は疎かにしてはいけない。妻と一緒に過ごす熟年夫婦らしい平和で穏やかな人生の後半戦を手に入れるために、今夜からでも夫婦円満に効く5つのコツを実践し、次の休暇に旅行の計画を立ててみてほしい。