プロ野球「記憶に残る神采配」勝敗を分けたあの瞬間2017

 日本シリーズも終わり、2017年のプロ野球も一段落。今季も大事な場面で勝敗を分けたのは、監督たちの“采配力”だった。

■ソフトバンク工藤公康監督の“神起用”

 パ・リーグ王者、ソフトバンクはCSファイナルステージの第3戦、工藤公康監督の“神起用”がチームを救った。「第1戦、第2戦と楽天に連敗。CS敗退危機のチームの救世主となった、城所龍磨の起用です。第1打席はヒットで出塁した今宮をバントで送り、その後の逆転劇のキッカケを作る活躍。3回には則本からタイムリーツーベースを放ち、勝利を引き寄せました。守備でも5回表にウィーラーが打った大飛球をフェンスに激突しながら好捕。流れを相手に渡さなかったのは大きい」(専門誌記者)

 城所は14年目の32歳、旧ダイエー時代からのベテランだが、今季は一度も一軍には呼ばれていない。「工藤監督は福岡に単身赴任していることもあって何度もファームに足を運び、そこで、若手に混じって泥だらけになっている城所の姿を見ていた。この“神起用”は、日頃からの目配りの賜物ですね」(前同)

■高橋由伸監督率いる巨人は、驚異的な巻き返し

 観察眼の鋭さで危機を救った工藤監督に対し、球界の盟主・巨人を率いる高橋由伸監督はどうか。「今季の巨人は、前半戦から交流戦にかけて喫した13連敗が後々まで響き、最終的には4位に終わりました。しかし、後半戦、驚異的な巻き返しで、Aクラス争いを最後まで演じ、貯金3にまで回復させたのは奇跡に近い。この驚異の粘り腰の原動力となったのが、主砲・マギーのセカンドへのコンバートです」(番記者)

 当初、守備に難があるマギーをサードで使うため、村田修一を代打要員にしてベンチに下げた由伸監督。「それが打線の不振を招くことになってしまった。そこで由伸監督は“清水の舞台”から飛び降りるつもりで、マギーのセカンドコンバートを断行しました。結果的にマギーはセカンドで守備率.986と、まずまずの守備を披露。村田がサードに復帰して、チームの打撃力も向上し、後半戦の驚異的な追い上げの原動力になりました」(前同)

●思わぬ“副作用”に気づいた、広島・緒方孝市監督

 だが、この名タクトには思わぬ“副作用”もあった。「マギーのセカンドの守備は、エラーという形で数字には表れなかったが、チーム全体では併殺が激減。セカンドはゲッツーの起点になる重要なポジションで、一朝一夕にこなせるものではない」(ベテラン記者)

 これに気づいたのが、広島の緒方孝市監督だった。「マギーの緩慢な守備につけ込み、ランナー一塁なら内野ゴロでも全力疾走するよう徹底。普通なら併殺打になるケースも、一塁セーフになった」(前同)

 事実、巨人は他の4球団には勝ち越したが、赤ヘル軍団には負け越している。しかも、マイナス点はそれだけではなかった。「マギーのセカンド起用でショートを守る坂本の負担が大きくなった。当初、首位打者を狙う勢いだった坂本が、8月.221、9月.250と極端に打率を下げたのは、守備の負担増が影響していますね」(同)

■阪神タイガース金本知憲監督の“眼力”

 では、最終的に2位をキープした阪神はどうか。6月後半に突然調子を崩し、8連敗のどん底にあえいでいた阪神を救ったのが、金本知憲監督の“眼力”だった。「この試合で勝利に貢献したのが、金本監督の掲げる“超変革の申し子”の一人、大山悠輔や」(在阪スポーツ紙記者)

 話は昨年のドラフト会議にさかのぼる。スカウト陣は即戦力の投手を1位候補に推したが、大山のバッティング映像を見た金本監督がひと目惚れ。大山指名を強行した経緯があった。「しかし、沖縄キャンプの紅白戦では、17打席ノーヒット。心労から5キロも痩せたそうやけど、当時の掛布二軍監督の助言で徐々に自信を取り戻していった。連敗にあえぐ阪神が“9連敗は絶対回避”の気概で挑んだ7月1日のヤクルト戦。金本監督の起用がズバリ当たったんや」(前同)

  1. 1
  2. 2