許せない!「ペット業界」トンデモ実態告発レポートの画像
許せない!「ペット業界」トンデモ実態告発レポートの画像

 長い時間を一緒に過ごし、もはや、家族同然とも言えるペット。その飼い主の愛情につけ込み、金儲けしか考えていない業者が跋扈しているという――。

■ズサンな動物病院の実態

 日本は今、史上稀に見るペットブーム。犬、猫の飼育世帯数1300万世帯超え(ペットフード協会調べ)の昨今、次のような声が聞こえてくる。「動物病院を、なんとかしてほしい」「ペットの葬祭で、とんでもない目に遭った」など……。そこで、本誌は飼い主たちが遭遇した、ペット業界のトンデモ実態をレポートする。

「ひどいんですよ。話し合いをしたのに、それを平気で破って勝手に輸血をするわ、説明もなく毎回、違う薬が処方されるわ。この前なんて、入院をさせにいったら、小さいカプセル型のケースに入れられて、すぐ目の前が手術台なんですよ。そんなものを見せられる、この子のストレスとか考えないんですかね? 人間の場合だったら、絶対にありえないことですよね」

 動物病院に対してこう憤るのは、とある愛犬家の男性だ。今、飼い主たちが動物病院の対応に疑問を呈する事例が増えているという。動物愛護法に詳しい弁護士の渋谷寛氏が言う。「ペットの飼育世帯数の増加は落ち着きつつある一方、動物病院に関する相談件数は増加傾向にあります。その理由は、ペットを病院に連れていく回数が増えたことにあると思います。ちょっとしたことで検査をしてもらったりと、ペットを放っておけない飼い主が増えた印象です」

 つまり、飼い主の意識が変化しているということだろう。1997年から動物の殺処分問題を取材し続けている、フォトジャーナリストの児玉小枝氏も、その変化を肌で感じていた。「97年頃は殺処分数が70万匹を越えていましたが、昨年は5万匹までに減少しています。その背景には、99年に動物愛護法が改正されて以降、法律が、動物の命を守る方向に舵を切ったことがあります。それと比例して、ペットが大切なパートナーとして家族化しているんです」

 大切な家族の健康を願い、守りたいのは当然のこと。しかし、「ズサンな病院の実態は、20年前と何も変わっていない」と話すのは、捨て猫ボランティアとして、多くの動物病院と関わってきたAさんだ。「昔は、こんなことがありました。病院の院長の奥さんが、獣医師の資格もないのに手術室に入ってきて、不安で騒いでいる犬を床に叩きつけたり、また、あるときはキャリーで預けられたウサギをそのままにしておき、翌朝開けたら死んでいて。“なに、このキャリー。ああ、昨日来たウサギ。手遅れね”で終わり。そんなことを知り合いの動物病院スタッフに話すと、“今でも、そういう病院はありますよ”なんて言うんです」

●簡単な手術中に医療ミスも

 Aさん自身も、良心的な病院にたどり着くまでに、悲しい経験を経ていた。「普通の病院って、ドアを開けたら待合室があって、診療室、手術室と続くじゃないですか。でも、開けたら、すぐに診療室なんて病院があったんです。うちの猫を連れていくと、案の定、ドアが開いた隙に外に逃げ出して、それから今まで戻ってきません。簡単な手術中に死んでしまったこともあります。“うちの子は、あいつに殺された”と確信していますが、証拠がないんですよ」

 渋谷氏の元にも、そうした、いわゆる“医療過誤”の相談がたびたび舞い込むという。「“薬の副作用が出た”“避妊手術のような死ぬ危険のある手術ではない最中に死んでしまった”など、たいていは医療過誤訴訟の相談です。専門知識が必要ですし、証拠もない難しさをはらんでいるわりに、人間の医療過誤訴訟では数千万から億単位の賠償金を勝ち取ることもできますが、動物の場合は勝っても数十万~100万円前後。ですから泣き寝入りは多いと思います」

●“インフォームドコンセント”は蚊帳の外

 近年、医療現場に浸透しつつある“インフォームドコンセント”(医師が患者に対し十分に説明し、質問に答え、治療法の同意を得る)も、動物病院は蚊帳の外なのか。「“治療法は、これしかありません。僕がこう言うんだから、こうしなさい”と、上から目線で決め込まれることも、いまだにある」(前出の児玉氏)

 さらに動物病院では、通常の病院では考えられないことが起こる。「診療費や治療、手術、予防接種や薬に至るまで、病院によって金額が違うんですよ。同じ予防接種なのに、値段はピンキリ。ボッタくろうと思えば、いくらでもボッタくれる世界なんでしょうか、悪質な病院があるとは聞きます」(前同)

 そうした被害に遭わないためには、「口コミでいい病院を探し、病気のことをある程度勉強したうえで、妥協せずに医師と渡り合い、それで信頼できるところを探すしかないでしょう」と、児玉氏は提案する。

  1. 1
  2. 2