意外と知らない!? ご祝儀袋の書き方、マナーとトラブル回避法の画像
意外と知らない!? ご祝儀袋の書き方、マナーとトラブル回避法の画像

 結婚式のお祝いで渡すご祝儀を包むご祝儀袋。でもご祝儀袋のマナーって知っているようで意外と知らなかったりするもの。この記事では「ここをおさえれば大丈夫!」というポイントを紹介していくので、お祝いの参考にしていただきたい。

■意外と知らない「祝儀」の起源と種類

 まずそもそも「祝儀」とは何なのか、言葉の意味や種類を見ていこう。

しゅうぎ【祝儀】

 本来は祝いの儀式のこと(で)あるが、現在ではその際に贈る祝意を表した金品、さらには芸人、芸者、職人あるいは使用人、給仕などに与える心付けを指し、熨斗(のし)をつけ水引を掛けたご祝儀袋(熨斗袋)に包んで贈る。今日でも,地方の農村などには祝儀不祝儀と称し、祝儀をとくに婚礼およびその祝いの金品の意に用いているところもある(不祝儀は葬式、香奠)が、一般には御祝儀にあずかると称して正規の報酬とは別にその労をねぎらい謝意を表して贈る心付けのことを指す場合が多い。(世界大百科事典 第2版)

 祝儀とはその文字が表す通り、祝い事の際に贈る金品のこと。「祝い事」とは結婚が代表的だが、他にも誕生祝いや成人祝い・還暦祝い、入学・就職祝い、快気祝いや新築祝いなど、いわゆる「おめでたい事柄」の総称である。引っ越しの作業員へ渡す「チップ」や、演劇やショーで演者に渡す「おひねり」、麻雀で難しい手役を作った際、同卓者が払う「役満祝儀」なども総じて祝儀とされている。

 江戸時代にはすでに祝儀の文化があり、祝い事の際に金品の代表的なものとして手ぬぐいが贈られていた。その名残で、現代でも手ぬぐいやタオルをご祝儀として贈られることがある。「◯◯株式会社 創立◯◯周年」のような文字が印刷されたタオルを見かけたことはないだろうか? そのようなタオルもご祝儀なのである。

 逆に弔事(ちょうじ・葬式や病気見舞いのこと)で渡されるのは不祝儀(ぶしゅうぎ)と呼ばれる。こちらは祝儀とは包む袋やマナーも異なるので、混同しないように気をつけたい。

■ご祝儀袋の基本的な書き方

 結婚式に渡すご祝儀袋で大切なのは、受付や新郎新婦が受け取ったときに、ひと目で分かるように丁寧な文字で心を込めて自分の名前を書くということ。あまりに汚い字だと受け取った側が、誰からのご祝儀か分からない、という事態に陥る可能性があり、よけいな仕事を増やしてしまうので判別できる文字で書くように心がけたい。

 まず表の短冊の中央に氏名を楷書で記入。夫婦の場合は連名で名前を書く。それ以上の人数の家族で出席する場合は、左側に「他家族一同」と書き、別紙に全員分の名前を書いて中袋に入れるのが一般的。

 筆記具は毛筆を使用するのが正式なマナーだが、筆ペンや太めの黒のサインペンもマナー違反ではない。なお、筆や筆ペンでも薄墨は弔事用なので絶対に使わないように。同様にボールペンや万年筆もNGだ。迷ったら黒の毛筆か筆ペンで書けば問題はない。

●表書きの文字は印刷でも大丈夫?

「字が汚いから印刷で済ませたい」と思う人もいるはずだ。近年パソコンが普及したのもあり、印刷でも気にしない人は実際には多くなっている。ただ、マナーを重んじる人からすれば「おいおい印刷かよ」となる可能性もあるので気をつけたい。

●妻側の友人へ渡すご祝儀袋に書く名前は?

 夫婦のうち、妻しか招待されていないケースではどのように名前を書けばいいのか少し迷うところだが、もし夫婦共通の友人なら夫が参加しなくても連名で書いてOKだ。妻だけの友人なら妻の名前だけを記入するのが一般的。要は新郎新婦と面識がある人間の名前を書く、ということになる。

■ご祝儀に包む結婚祝いの一般的な相場は?

 必ず守りたいのは、1000円単位の端数が出ないように1万円や3万円などキリの良い金額を包むということ。4万円など偶数の額は「割り切れる」数字のため、縁起がよくないとされていたが、近年それほど気にされなくなってきている。特に若い夫婦で参列する場合などは2人で合わせて2万円というパターンも見受けられる。

 とはいえ「死」を連想させる「4万円」、「苦」を連想させる「9万円」は避けるべき。そのあたりのマナーが気になるようなら、以下に記載する額を参考にしていただき、奇数の額がベターであろう。ちなみに10万円以上の高額の場合は偶数であっても問題はない。

●単身で出席する場合

 

友人や知人、会社の同僚は3万円程度

兄弟や姉妹などの親族は5万円程度

●夫婦で参加する場合

友人知人には5万円程度、親族は7から10万円程度

●結婚式を欠席する場合

 上記と同額のご祝儀か、プレゼントを贈るのも近年増えている。自分たちの結婚式に出席してもらっていた場合は、頂いたご祝儀と同額を贈るのがマナー。自分の結婚式に出席していない場合は、1万円程度でもかまわないとされている。会社の上司など、自分より目上の人に対して部署でまとめてご祝儀を渡す場合も、キリのいい金額になるようにしたい。

■ご祝儀袋の中袋の書き方は?

 お金を入れる中袋の書き方を解説していこう。まず中袋の表側に金額を「壱万円」や「参万円」など旧字体の漢数字で書き、裏側の左下に住所と氏名を書く。

「金額は中身を見れば分かるし、ご祝儀袋の短冊に名前書いたし、住所は招待状送ってもらうときに教えてるから書かなくて大丈夫でしょ?」と省略しないように。これはご祝儀袋本体と中袋がはぐれてしまった場合でも、受け取った側が迷わないようにするために書くもの。集まるご祝儀袋は自分が渡すひとつだけではないのである。ただでさえ忙しい新郎新婦の負担を軽減するための心遣いがマナーとされている。

 お札は表(肖像がある面)が上になるように、新札で向きをそろえて入れよう。間違っても自分の財布からしわくちゃのお札を入れないように。新札は銀行や郵便局などの窓口で両替ができるので、事前に準備しておくこと。

 ご祝儀袋の中に中袋を入れたら、「喜びを受け止める」という意味で、ご祝儀袋の裏側の下からの折り返しが上向きになるようにして、水引(みずひき)を通して完成だ。

■失敗しないご祝儀袋の選び方

 ご祝儀袋売り場でいろいろな種類があり、どれを買えばいいのか迷ったことはないだろうか? ここでは失敗しないために、失礼のないご祝儀袋の選び方をご紹介しよう。

 まず、包む金額、新郎新婦との関係性を考えて選ぶことが必要。たとえば3万円を包むのに金銀を使った豪華なご祝儀袋ではバランスが悪い。市販されているご祝儀袋が入っているビニール袋に「入れる金額の目安」と表記されていることがほとんどなので、それを参考にしよう。

「新郎新婦との関係性を考えて」と前述したが、たとえば学生時代からの長年の友人であったり、パーティ形式などカジュアルな式ではかわいいデザインや変わった素材のタイプも喜ばれる。逆に会社の同僚など、それほど関係が深くない相手の場合には、シンプルなご祝儀袋が無難だろう。

●水引の結び方と、熨斗(のし)の意味

 ご祝儀袋に結ぶ水引、そして飾りとして添えられている熨斗。これらの飾りにもキチンと意味がある。

 水引の紐が10本なのは「夫婦は二人で一つ」という意味から。結び方にも意味があり、固く結ばれて離れないことから「結び切り(むすびきり)」のものを選ぶようにしたい。蝶結びはほどけてしまい、別れを連想させるため縁起が悪いのでNGだ。

 続いて熨斗(のし)、これは祝い事における進物(しんもつ)に添える飾りの名称。もともと長寿を表し、縁起物とされる熨斗鮑(のしあわび)が使われていたが、現在では代用として黄色い紙を長六角形の色紙で包んだ形状をしているものが多く使われている。より簡素化されて袋や紙に印刷されている熨斗もあるが、結婚式のご祝儀袋で使うのは手抜きの印象を与えてしまうため好ましくない。

 水引が10本の結び切り、そして紙でできた熨斗がついているものを購入すれば完璧だ。「慶事用」や「結婚式用」と書かれていても念のために確認しておこう。

■ご祝儀袋を包む袱紗(ふくさ)って? 選び方や包み方は?

 ご祝儀袋に書くポイントはバッチリ、金額も大丈夫、となれば後は渡すだけ。だが、ご祝儀袋は袱紗から出して渡すのがマナーとされている。袱紗とは本来、「金品などを汚さずに運ぶ」ためのものであり、カバンや内ポケットからそのままのご祝儀袋を直接渡すのはマナー違反なのだ。

「え? 袱紗なんて持ってない……」という場合、きれいなハンカチや小さなふろしきで代用しても問題はないとされている。しかし年長者など、作法を気にしがちな相手からすると、マナー違反と思われる可能性もあるので注意が必要だ。

 一口に袱紗といってもどれを選べばいいのか迷うところだが、慶事や祝い事用は暖色系の明るい色の袱紗を選べば大丈夫。寒色系は葬式などの弔事用なので使わないように。紫色は例外で慶事弔事どちらに使ってもOKとされている。

 包み方にもマナーがある。広げた袱紗の中央から少し左にご祝儀を起き、それぞれ内側へ向けて左→上→下→右の順に折り込み、余った部分は裏へ折り返そう。慣れないと意外と難しい袱紗の包み方だが、ご祝儀を挟み込めるような構造になっている簡易型の「金封袱紗」という商品もある。

 袱紗は見た目のイメージから値が張るものと想像してしまうが、通販サイトで安いものでは1000円前後から購入することができる。ひとつも持っていないというのであれば、慶事・弔事どちらも使える紫色の袱紗を買えばいろいろなケースに対応できる。

■まとめ

 ご祝儀袋の文字の書き方や選び方、それにまつわるマナーを紹介してきた。地方によって独自の作法やマナーもあるが、基本はここまで書いてきたポイントをおさえておけば、まず間違いはない。安心して、新郎新婦の幸せを祝っていただきたい。

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