喪中の範囲は「2親等」まで!? はがきを出す時期とNGマナーも解説!の画像
喪中の範囲は「2親等」まで!? はがきを出す時期とNGマナーも解説!の画像

 家族や近しい人を亡くしたときは、遺族として葬儀を執り行うだけでなく、ある一定期間は慶事と呼ばれるおめでたい行事や決まりごとなどから遠ざかり、故人の冥福を祈る必要がある。今回は新年を祝う年始のあいさつを控えることを伝える「喪中はがき」を中心に、喪中にまつわる常識やマナーなどを調べてみた。

■知ってるようで知らない!?「喪中」の意味

●そもそも、喪中とは

 喪中とは、近親者が亡くなったあとに身を慎んで故人を偲ぶ期間のことである。喪中は「忌」と「服」の2つの期間から成り立ち、忌服期間とも呼ばれる。「忌」は自宅に謹慎する期間のことを指し、忌中や服喪とも言う。「服」は「忌」の期間を含み、明けるまでを喪中とする。宗教や故人との関係性にもよるが、一般的に父母が亡くなった場合は、四十九日の法要までを忌中、一周忌までの1年間を喪中とすることが多い。

●喪中はがきとは

 喪中のときは、新年のあいさつを控えることを詫びるために、年賀状を受け取る前に喪中はがきを送っておくのがマナーだとされている。喪中はがきは欠礼状や年賀欠礼、喪中欠礼とも呼ばれる。

■喪中はがきは、いつまでに誰に送ればいいの?

 それでは、もう少し詳しく喪中はがきについて解説していこう。

●喪中はがきを送る時期

 喪中はがきはなるべく早めに準備して、11月〜12月初旬までに送り終えるのが常識的だ。年賀状と行き違いになってしまうと失礼になる。

●もしも年賀状が届いてしまったら?

 年賀状を受け取ったら、松の内(1月7日、もしくは15日か20日)が明けてから、年賀状の代わりに寒中見舞いを送ろう。その文面で年賀状のお礼と喪中で年賀状が出せなかった旨を伝えれば問題ない。

●喪中はがきを送るのは2親等以内

 一般的には故人との続柄が2親等までの人が喪中扱いになる。そのため、喪中はがきも同じく2親等までの人が送るケースが多い。ちなみに0親等は「配偶者」、1親等が「父母」「義父母」「子ども」と「子どもの配偶者」、2親等が「兄弟姉妹と配偶者」「義兄弟姉妹と配偶者」、「祖父母」と「義理の祖父母」、「孫と孫の配偶者」である。

■文例も要チェック! 喪中はがき作成時のマナー

 喪中はがきを準備する際に、注意すべき点や書き方のポイントなどを具体的に挙げてみよう。

●喪中はがきの選び方

 喪中はがきは、どんなハガキを使っても問題ないが、はがきは「通常葉書胡蝶蘭」、切手は弔事用の「花文様」やを選ぶ人が多い。しかし、年賀状だけはNGとなっている。年賀には新年を慶ぶという意味が込められているからだ。

●喪中はがきの書き方ポイント

□裏面の色柄やデザイン

 喪中はがき=薄墨色というイメージが定着しているが、淡い色なら他の色を使っても問題ない。イラストを入れる場合は派手な印象のものは避け、雪や菊などの柄を選びたい。

□頭語や結語、句読点、元旦は使わない

 喪中はがきの文面には、年賀状などと同じように拝啓や敬具といった頭語や結語、句読点を使わないのが常識だ。文末に日付を入れるときは、慶事を表す「元旦」の2文字も避けよう。喪中はがきは、原則として前年中に送るものであるため、日付は○○年12月とすればよい。

□享年の計算は「数え年」で

 喪中はがきでは、故人の享年は満年齢ではなく、いわゆる数え年を使うのがマナーとなっている。数え年は誕生時を1歳とし、誕生日ではなく元旦を迎えるたびに1歳ずつ加齢していく数え方である。

□差出人

 喪中はがきの表に書く差出人は、個人でも連名でもよい。夫婦連名にする場合は、故人との続柄は夫の側から見たものを書くのが通例である。

●喪中はがきの文例

 喪中はがきの文面としては、あいさつ文の後に、いつ誰が何歳で亡くなったのかを説明し、お礼のあいさつと日付で締めるという形式が最も無難である。ここでは、故人との続柄や送る相手を選ばずに使える、万能な喪中はがきの文例を1つだけ紹介しておこう。

喪中のため年頭のご挨拶を失礼させていただきます

○○月に ○○○○が ○○歳にて永眠いたしました

本年中に賜りましたご厚情を深謝いたしますと共に

皆様に良き年が訪れますようお祈り申し上げます

○○年 ○月

●もしも1年に2人以上亡くなったら?

 同じ年に複数人が亡くなったときは、喪中はがき1枚にまとめて問題ない。文中で各故人に触れればよい。

■こんなときはどうする!? 変わった状況での喪中Q&A

 さまざまな事情が絡んでくるため一概にはいえないが、喪中期間に避けるべきとされているのは(1)正月行事(2)慶事・お祝い事への出席(3)慶事・お祝い事の執り行い(4)殺生、の4つである。

 最後に喪中はがき以外で、喪中のときに気になることをQ&A形式で紹介しよう。

Q:忘年会や新年会に出席してもいい?

A:忘年会や新年会を慶事と捉えるかどうかは、人それぞれだ。晴れがましい席であることを理由に参加を見送る人もいれば、社会生活上のマナーとして参加する人もいるだろう。どちらにしても参加を無理強いするのはご法度である。

Q:お歳暮やお中元を送ったり、受け取ったりしていいの?

A:お歳暮、お中元は季節のあいさつ・お礼であり、何かをお祝いするわけではない。喪中の人が贈るのも、喪中の人に贈るのもOKだ。

Q:正月飾り、おせち、初詣などはNG?

A:正月飾り、おせち、初詣などはすべて新年を祝う正月行事にあたるため、控えるのが常識的だ。

Q:結婚式を挙げたり、結婚式に出席したりしてもいいの?

A:結婚式は慶事の筆頭に挙げられる。結婚式を執り行うのは喪が明けてからにしよう。また招待されたときも、喪中を理由に出席を見送ったほうが、失礼にあたらない。

Q:神社やお寺へ参拝してもいいの?

A:神道では死をけがれとして扱うため、喪中期間の神社への参拝はやめておこう。その一方で仏教には死を忌む考え方はないため、正月行事としての初詣は避けるべきだが、お盆やお彼岸にお寺へお参りに行くのはまったく問題ない。

■まとめ

 喪中とは、故人の冥福を祈り、慎ましく生活する期間。昭和22年までは「服忌令」という法律で細かくルールが定められていた。その後、変化しながらも現在まで受け継がれてきた大切な日本の文化だ。残された遺族は故人の安らかな眠りを願って、静かに喪に服したい。

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