羽生結弦、大谷翔平、高木美帆…「94年世代」にスーパースターが生まれる理由

 続々と偉業を達成する黄金エイジの若者たち。活躍の裏にはいったい、何があるのか――本誌が取材した!

■羽生結弦や高木美帆が平昌オリンピックで金メダル!

 平昌五輪で金メダルを獲ったフィギュアの羽生結弦とスピードスケートの高木美帆。そして、今季からメジャーに移籍し、現地メディアからも一挙手一投足が注目されている大谷翔平。今まさに“旬”の3選手は実は同い年。1994年生まれの23歳なのだが、同年齢で世界に羽ばたく若武者はこの3人だけではない。

 リオ五輪で金メダルの土性沙羅(レスリング)やベイカー茉秋(柔道)、萩野公介(水泳)、そしてサッカーの野津田岳人や野球の藤浪晋太郎などなど、他の世代と比べても突出した逸材がそろう。

■大谷翔平もゆとり教育がプラスに

 この94年世代は、日本スポーツ界を牽引する“ワンダフル世代”と言われるほどなのだが、いったい、なぜなのか? まず考えられるのは、2002年からの「ゆとり教育」の影響だ。学校は完全週休二日制になり、成績も他の生徒と比較しない絶対評価が取り入れられた。「94年世代は小学校低学年から授業時間が大幅に減り、“勉強しろ”の一点張りから、“好きなことを見つけ一生懸命やることが大切”に変わりました。こうした教育環境で育ったため、スポーツに向きあう子どもが増えたんでしょう」(スポーツジャーナリスト)

 2月26日に初出場したオープン戦で、早くも初安打&初打点を叩き出した大谷も、このゆとり教育がプラスに働いたようだ。「彼がリトルリーグに入ったのはゆとり教育に変わった小学2年のとき。休日が増えたことで、野球の時間が生まれたんです」(前同)

 “勉強時間が少なくなった”と批判もあるゆとり世代だが、決してマイナスの要素ばかりではないようだ。

■藤浪晋太郎は両親の応援で

 また、94年世代の躍進は、親の影響も大きい。20年以上、中学生野球の指導をしている野球評論家の関本四十四氏は「ここ十数年、子どものスポーツに熱心な親が増えている」とこう話す。「ひとつには子どもが少ないこともあるんでしょう。子どもが小さい頃は子どもと一緒に自分がやったスポーツを楽しみ、中学、高校に進学しても、これを後押ししてくれる。このような環境で育ったことも、大きな要因だと思います」

 プロ1年目で二桁勝利をあげた阪神のビッグルーキー・藤浪晋太郎も、父親の強力な後押しがあった。「藤浪が小学1年生のときに野球をやりたいと言うと、高校球児だった父親の晋さんは、息子が所属するチームのコーチを引き受けました。2交代制の工場勤務にもかかわらず、近くで支えたいという愛情が、図抜けた素質を引き出したんでしょうね」(在阪記者)

 また、リオ五輪で金銀銅のメダルを取った水泳の萩野公介の母親も、スイミングスクールと家の送り迎えを毎日していたという。「そのため、帰宅はいつも夜遅かったそうです。母親の“苦労したなんて思ってない”との笑顔に、トップアスリートを支える親の強い後押しを感じました」(取材したフリー記者)

 かといって、94年世代アスリートの親たちが「頂点に立て!」と子どもの尻を叩いていたわけではない。前述した藤浪の両親は、息子の高校進学先も本人に決めさせ、プロ入りも「親としては大学に行ってほしいが、これも本人の意志に任せた」と周囲に打ち明けていた。プロで生きていけるか、金メダルを獲れるか打算などなく、“本人がやりたいのなら、できるだけ応援する”という、ごく自然なスタンスなのである。

 ちなみに、“94年世代”の親は60年代生まれが多い。社会評論家で近畿大学非常勤講師の竹村洋介氏は、「子どもを黙って応援するのが、私ら1950年代生まれと違うところ」だと笑い、こう続ける。「50年代生まれは『巨人の星』に代表されるスポ根漫画の影響が大きいんですね。子どもにも“スポーツは血と涙と汗で、とことんやれ”とハッパをかける。そして“やるからには将来も食っていけるようになれ”と諭すんです。これでは、子どもも反発して伸びるものも伸びなくなる。ところが、60年代生まれの親は子どものスポーツに将来の期待をかけず“楽しみなさい”というスタンス。こんな親の元で伸び伸びとスポーツを楽しみ、花開いたのが94年世代のアスリートの特徴かもしれません」

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