緑茶vsコーヒー、体にいいのはどっち?

 我々が日々、何気なく口にしている2大嗜好飲料。最近の研究では病気の予防にも役立つというが本当か?

■ミランダ・カーや高倉健も愛飲

 緑茶とコーヒーといえば、日本人にとって、おそらく最もポピュラーな飲み物だ。緑茶に関しては、昔から体に良いといわれ、もはや、その評価は国内にとどまらない。世界的なファッションモデルで、日本でもCMなどでおなじみのミランダ・カーは、日頃から緑茶を愛飲し、さらに緑茶を入れた際に生じる湯気を顔に当てる“緑茶スチーム”なる美容法も実践しているほどだ。一方でコーヒーは、昔は「体に良くない」とも言われていたが、近年、緑茶同様、体に良いとの研究結果が次々と出てきている。世界中にファンを持つ名優・高倉健さんは、1960年代の東映時代から、撮影中にコーヒーを1日に軽く10杯以上飲んでいたというが、さすが健さん、コーヒーの効能を当時から分かっていたのかも!? 互いにワールドクラスの愛好者を持つ緑茶とコーヒー、はたして、どっちが体にいいのか、検証した!

■ポリフェノールとカフェインが薬理効果

 まずは、食品関係者からは、こんなコメントが。「緑茶もコーヒーも、主成分はともにポリフェノールとカフェイン。この両成分がそれぞれ、さまざまな体に良い薬理効果を持っていることに加え、この両成分の相乗で、さらに体に良い効果を与えているとみられます」

 緑茶もコーヒーも、主成分が同じだからこそ、含有物の微妙な差がさらなる効能をもたらすのか? それを検証する前に、ポリフェノールとカフェイン、この2つの成分には、どんな良い効果があるのか、押さえておこう。初めに、ポリフェノールから見てみよう。「ポリフェノールは、植物中に数千種類あるといわれる抗酸化物質です。緑茶で注目されるのは、ポリフェノールの一種である“カテキン”。緑茶の渋みの主成分で、血圧を抑える、血糖値上昇を抑える、腸内環境を改善するなどの効果があるとされます。一方のコーヒーは、同様にポリフェノールの一種の“クロロゲン酸”が多く含まれていることが分かっており、血液をサラサラにする働きなどがあるとされます」

 こう解説するのは、医療ジャーナリストの牧潤二氏である。では、もう一つのカフェインはどうか。そう、緑茶、コーヒーが持つあの苦みの主成分だ。「カフェインは気分をすっきりさせる作用と脂肪燃焼を促進するダイエット効果があるとされます」(前同)

■国立がん研究センターが死亡リスクを調査

 牧氏によれば、緑茶やコーヒーといった一般的な飲み物が体に良いかどうかの研究は、まず特定の集団を対象に、病気の発生頻度などを調査する疫学研究をやり、そのうえで、必要に応じて、どんな成分が働いているのか特定していくやり方で進められるという。

 その代表的な研究報告があったのは、2015年5月のこと。国立がん研究センターが、40~69歳の男女、約9万人を約19年にわたって追跡調査したものだ。それによれば、まず緑茶を1日1杯未満飲む人を基準に死亡リスクを比較すると、1日5杯以上の男性は13%低下(女性は17%)することが分かった。さらに死因別で見たところ、がんによる死亡リスクに、それほど差はなかったが、心疾患、脳血管疾患、呼吸疾患で、緑茶を多く飲むほど低下していることが明らかになった。

 これに対し、コーヒーをほとんど飲まない人を基準に死亡リスクを比較すると、1日3~4杯の人(こちらは男女別なし)が24%も低下。ただし、1日5杯以上飲む人だと、ほとんど飲まない人よりは15%低いものの、1日3~4杯の人よりリスクが上がっている。さらに死因別に見た場合、緑茶同様、がんでは、それほど差がなかったものの、やはり心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患ではコーヒーを多く飲むと低下していることが分かった。ただし、それは1日3~4杯までで、1日5杯以上では1日3~4杯の人よりリスクが高くなり、中でも心疾患については、ほとんど飲まない人よりも、逆に3%ながらリスクが高い結果となったのだ。

■カフェインは適度な量で

 この、ある程度多く飲んでもリスクが低くなる緑茶と、1日5杯以上だとリスクが高くなるコーヒーの違いは、いったい何なのか?「カフェインの副作用の可能性があります。カフェインは適度な量なら体にいい。緑茶にも、むろんカフェインは含まれていますが、その量はコーヒーの約半分ですから……」(前出の牧氏)

 カフェインを過剰摂取すると、不整脈や筋肉細胞が壊れる現象が起きることがあり、最悪の場合、死に至ることもあるという。牧氏が、こう続ける。「コーヒーはそもそも嗜好品で、体に良いかどうかの研究は最近までそれほどなかったんです。緑茶はよりそうで、私たちはこれまで水みたいに飲んできました。つまり、実はまだ、そこに含まれるどんな成分が体に良いかなど、詳しいことまでは分かってないんです」

 ポリフェノール、カフェインだけでなく、他の微量成分が効果をもたらしている可能性も考えられるという。なお、緑茶においては、うまみ成分の(テアニン)をポリフェノール、カフェインと併せて3大主成分とされ、このテニアンもリラックス作用、ストレス軽減という体に良い効果があるとされる。

■適切な飲み方は?

 さて、このように毎日、適度な量を飲む限り、緑茶もコーヒーも体に良い=健康長寿に導いてくれるらしいことは分かった。だが、両者にも違いはある。また、先にも触れたようにコーヒーの飲みすぎは、逆に死亡リスクを高めるなど、毎日の飲み方に工夫が必要だ。そこで、飲み方の実践解説で、緑茶とコーヒーの差別化を図りたい。薬剤師、鍼灸師で、漢方に詳しい平地治美氏は、その人の体質、目的に合わせた選択を勧める。「漢方の考えでは、緑茶は“気”を下ろし、逆にコーヒーは“気”を上げるとされます。したがって、“気”が上った頭痛持ちの人は緑茶がいいと思います。また、同じ人でも自身のテンションが高すぎるときは緑茶、元気がないときはコーヒーと飲み分けるのもいいでしょう」

 平地氏によれば、お茶の効能については禅僧・栄西が800年も前に著した『喫茶養生記』でも述べられており、ズバリ、苦み成分(カテキン)が「心(心臓)を強くする」と記されているという。また、頭痛に効果があるとされるお茶の成分が入った漢方薬もあるというから、古人の知恵はさすがというべきだろう。ここで平地氏は、カフェイン成分が多いコーヒーはむろん、「緑茶でも飲みすぎは禁物」と警告して、こう続ける。「幼児だけでなく、体力が弱っている高齢者も要注意。コーヒーも緑茶も、一度に“ドバッ”ではなく、ちょこちょこ飲んでください。それから、体を冷やすと良くないので、どちらもホットが基本になります。コーヒーはむろんブラック。砂糖は体に悪いだけですから……」 砂糖が多く入った缶コーヒーは控えめにしたい。

 さらに平地氏は、お茶では必ずしも緑茶に限定する必要はなく、カフェインが少ないほうじ茶、番茶などでも良いとも言う。牧氏も続ける。「実はノンカフェインのコーヒーでも、普通のコーヒー同様の健康効果があるとする報告もあるんです。適度の量のカフェインが有効なのは事実ですが、はっきり言って、どこまで長寿に有効かといわれれば、よく分からないというのが正直なところです」

■健康長寿により効果的なのは?

 こうして見てくると、カフェイン関連でやや疑問符がつくものの、コーヒーにはカフェイン同様、ポリフェノール成分も、緑茶の約2倍含まれているというから、どちらか一方に軍配を上げるはなかなか難しい。牧氏は、あえてどちらかが上かと聞かれれば、健康効果以外の部分で緑茶を推してくれた。「まず、日常的な物だと価格はコーヒーより安いでしょう。急須にお茶の葉を入れて煮出す必要もありません。手軽な粉末のインスタントお茶でも十分、健康効果があります。緑茶はコーヒーのように砂糖やクリームなど他のものを足すこともないので、カロリーが低く飲めるのもいいですね」

 以上のように、どの成分が健康効果をもたらしているかなどの詳細はまだ不明ながら、日本人の“日常の2大飲み物”が体に良いのは間違いない。今日からは、値が張る健康食品に頼らず、緑茶とコーヒーで、体と懐に良いヘルシー生活を送るのはいかがだろうか。

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