２０１８年３月、俳優の菅田将暉が、３枚目のシングル『さよならエレジー』を含む全１４曲を収録した初のフルアルバム『ＰＬＡＹ』を発表した。作詞はもちろん、作曲まで菅田自身が手がけた本格的なナンバーも入っており、アーティストとしての本気度がうかがえる作品に仕上がっている。菅田は１７年１月に公開されたＧＲｅｅｅｅＮの自伝的映画『キセキ』でメインボーカル役を演じて劇中歌を披露した後、１７年６月にシングル『見たこともない景色』でソロ歌手としてデビュー。同年８月にはセカンドシングルを、１１月にはビートたけし作詞作曲の『浅草キッド』を俳優の桐谷健太と一緒にカバーし、又吉直樹原作の映画『火花』の主題歌に採用されるなど、活発な音楽活動を続けている。
１８年２月には、タレントのりゅうちぇるがＲＹＵＣＨＥＬＬ名義で歌手活動の開始を発表し、デビュー曲『Ｈａｎｄｓ ｕｐ！！ Ｉｆ ｙｏｕ＇ｒｅ Ａｗｅｓｏｍｅ』を配信リリースした。１年の準備期間が費やされた壮大なプロジェクトには、りゅうちぇる自身が作詞やＰＶ企画に携わったほか、作曲に水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミ、ＰＶにファンタジスタ歌麿といった豪華スタッフ陣が参加している。りゅうちぇるは「自分の色を取り戻そう」というコンセプトのもとに今後も歌手活動を続けていくとし、ブログに「この曲も、そしてこれから続いていく曲も、自分らしくこだわった歌を届けられるように、聞いてくださったみなさんにとって自分らしい自分で、キラキラと明日を迎えられるようなきっかけ作りが『ＲＹＵＣＨＥＬＬ』で出来るように頑張ります」と書き残している。
１８年２月にリリースされたＪＵＪＵの『かわいそうだよね（ｗｉｔｈ ＨＩＴＳＵＪＩ）』にゲスト参加しデュエットを披露したのは女優の吉田羊だ。平井堅が作詞作曲したこの作品について、吉田は「物事が決まって行くとき、自分の意思を超えた何かがひょいと働く。今回は、私と何かやりたいというＪＵＪＵさんの勇気がそれでした。プロ歌手ＪＵＪＵの隣で、吉田羊が女心あるあるを歌うなんて未来は想像だにしなかったけれど、この『かわいそうな女』が、なんとも情けなくかなしくそして愛おしく聴こえるのは、不完全で実は不器用にしか生きられない異色コンビな二人が歌っているからかな、なんて思ったり。言っておきますが、人ごとだと思って聴いてたら、ヤケドしますよ」というコメントを発表している。
モデルとグラビアで活躍する“モグラ女子”の泉里香は、１８年１月に堀内孝雄の『君のひとみは１００００ボルト』のカバー曲で歌手デビュー。ＡｂｅｍａＴＶオリジナル連続ドラマ『やれたかも委員会』の主題歌に採用された。泉は「歌のオファーをいただけるとは思ってもみなかったので驚きました。カラオケにもあまり行かないほうなので、自分の歌声を聞くのがまだ慣れないですね」とコメントした。
将棋棋士の加藤一二三も１７年９月に「大天才ひふみん」名義で『ひふみんアイ』をリリースし、歌手デビューしている。『アウト×デラックス』（フジテレビ系）の企画から誕生した楽曲は、ピコ太郎のプロデュースでも知られる古坂大魔王が作詞作曲した。レコーディングや撮影に挑んだ加藤は「感激して……。大きな喜びです。世界的な大先生の名曲です。素晴らしいです」などと述べていたが、古坂に「私の名前、覚えてますか？」と尋ねられると、「いや、それは将棋でいえば、意外な一手でした。この間まで覚えていたのですが……」と放言した。
ひふみんと同様にバラエティ番組に引っ張りだこのタレント、藤田ニコルも、１６年８月に自分で作詞した『Ｂｙｅ Ｂｙｅ』で歌手デビューしている。相手から「重い」と言われがちだという恋愛体験が色濃く反映された歌詞が話題になった。藤田は「まさか歌うというジャンルをやると思っていませんでしたが」と前置きしつつも「失恋をしちゃったけど、それでも頑張る、という女の子に向けた曲で、失恋しちゃった子も、そうじゃない子も楽しめる曲になっているので、元気になってくれたらうれしいです」とコメントした。
７月２２日に所属事務所との契約が満了になったことをインスタグラムで報告した女優の西内まりやも、歌手としての一面を持っている。シンガーソングライターとして１４年８月から１７年３月までに７枚のシングルを発表。デビュー曲『ＬＯＶＥ ＥＶＯＬＵＴＩＯＮ』が第５６回日本レコード大賞・新人賞と最優秀新人賞および第４７回日本有線大賞・新人賞に輝いたほか、３枚目のシングル『ありがとうＦｏｒｅｖｅｒ…』でも音楽関連のアワードを受賞している。
歌手業にしても、俳優業や女優業、タレントやモデル業にしても、何かを創り出し、世間の人に見てもらう、聞いてもらう“表現者”という意味では同じなのかもしれない。彼らの本業はもちろん、アーティスト活動も引き続き注目していきたい。
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