清原果耶
清原果耶

 8月24日に『透明なゆりかご』(NHK)の第6話が放送された。このドラマは、高校の準看護科に通いながら、産婦人科医で看護助手を務める青田アオイ(清原果耶/16)が、さまざまな理由で産婦人科を訪れる患者たちに寄り添い、命の尊さを学び、成長していく物語だ。「命」という重いテーマがメインだが、アオイの強く生きる純粋な姿や、実際に起こりうるリアルな内容に、多くの視聴者が共感している。

 今回、アオイは、勤務先である由比産婦人科の前で出会った同年代の少女、三浦ハルミ(モトーラ世理奈/19)と、山奥にある家を目指していた。そこは格安で中絶手術をしてくれるという場所だが、つき添い人が1人必要なため、ハルミはたまたま出会ったアオイをつき添い人として強引に連れてきたのだ。軽い口調で「中絶してくれる」と話すハルミに、アオイは憤慨し、引き止めようとするが、山奥の、看板もない民家のような場所にたどりついてしまう。温かい雰囲気の老夫婦に出迎えられ、思わぬ穏やかな空気に、アオイは、結局何も言えなくなってしまった。

 一方、由比産婦人科では、妊婦の倉田亜紀(西原亜希/31)が、ようやく妊娠したお腹の子がうまく成長せず、諦めなければいけないという事実を突きつけられていた。悲しみの中で、亜紀は「私は本当に産みたいと思っているのかな」と悩み始め、自分の気持ちが分からなくなっていく……。

 今回は望まない妊娠で授かった命と、不妊治療の末ようやく授かった命、両極端な状況だが、結果的にどちらの命も生まれることがなく消えていくという内容だった。

 今回最も印象的だったのは、ハルミが中絶手術のために訪れた山奥の民家の老夫婦だ。患者の事情も聞かない、名前も聞かない、もらう費用は最低限の金額だけ。アオイが、それでは気軽に中絶する人もいるのではないかと老夫婦に話していたが、医者である老人、神村重吉(イッセー尾形/66)は「あの台に乗って、また中絶すればいいやと思える人はいないと思うよ」と、アオイに言った。看護師を務める妻の神村千代(角替和枝/63)も「女性が生きやすい世の中になればいいわね」とつぶやく。

 かつて老夫婦が営む病院に、中絶を求めてきた女学生がいたが、2人は手術をせずに帰したことがあった。少女は、その後、重吉の目の前で自殺してしまう。身元を聞かずに施術してもらえるならば、軽々しく中絶する人もいるかもしれない。しかし、中絶できずに、悩み、苦しみ、自らの命さえ断つという選択をする人もいる。重吉と千代は、そうした女性たちを大勢見てきたからこそ、多くを尋ねない。そう思うと、2人の言葉は非常に重く深い。

 アオイが務める産婦人科の院長、由比朋寛(瀬戸康史/30)は「アウス(人工中絶手術)はいつか望んだときに、また妊娠できるようにする手術」と、考えるようにしていると答えた。私は、その言葉に一筋の光を見た気がした。生まれてくる子どもの命も大事だが、今ここで苦しんでいる女性の命を救うため、人生を前向きに生きるために必要な施術もあるのかもしれない。このドラマを通じて学ぶことは、まだまだありそうだ。 

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