■撮り終えても「もっとやれたんじゃないか」と後悔する

 何もなかった僕が、初めて「これや」と思ったのが、役者という仕事だったんです。以来、長いことやってきましたが、最近つくづく「好きだから、ずっとやってるんやな」と思いますね。

 一番好きなのは、新しい作品の台本を受け取る瞬間。「こんな役をやれるんや!」とワクワクします。その次が、完成した作品を観るとき。共演者やスタッフと飲みに行って、しゃべるのも大好きですね。でも、撮影そのものが楽しいかと聞かれたら、けっして楽しくはない。

 だって、台詞を覚えたり、『チア☆ダン』でいえば方言を身につけたり、10月から始まる『下町ロケット』みたいな作品だと専門用語も覚えなくちゃいけないわけですよ。事前準備はしんどいことだらけ。本番になったらなったで、ものすごく緊張するし、必死で覚えた台詞が出てこないこともある。撮り終えても「もっとやれたんじゃないか」と後悔する。全然楽しくない。

 でも、やめようとは思わない。好きだから。理想的なのは、台本をもらって、ふと気づいたら撮影が終わってる。試写を観て、打ち上げ。または、台詞がひとつもない主役。無茶苦茶ですよね、言ってることが(笑)。こんなしょうもないことを言っていられるのは、ありがたいことにたくさんの仕事をいただけているからです。

 若い頃は台詞がひとつでも多いとうれしかった。売れている仲間と飲みに行って、そいつだけが写真やサインをねだられると悔しかった。

 それが今は、毎クールドラマに出演させてもらっているうえに、イヤミ課長という名物キャラまでできてしまった(バラエティ番組『痛快TVスカッとジャパン』で木下が演じる人気シリーズ)ので、子どもや女子高生が「キャーッ」って寄ってきてくれるんですよ。

 中途半端な大阪のヤンキーには、十分すぎる人生だと思っています。これから? よく聞かれるけど野心はないですよ。来たものをやる、それだけ。強いて言えば、純愛ものでのラブシーンですかね、絶対に来ないけど(笑)。

木下ほうか(きのした・ほうか)
1964年1月24日、大阪府出身。1981年映画『ガキ帝国』で俳優デビュー。以来、数多くの映画、テレビドラマに名バイプレーヤーとして出演。主な出演作は映画『かぞくいろ』、『空飛ぶタイヤ』、ドラマ『下町ロケット』(TBS)『幸色のワンルーム』(朝日放送)など多数。2014年にスタートしたバラエティ番組『痛快TVスカッとジャパン』では、部下に嫌みを言う「イヤミ課長」こと〝馬場智明役を演じ、番組の顔というべき大人気キャラクターになっている。

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