安藤サクラ
安藤サクラ

 連続テレビ小説まんぷく』(NHK)の1月21日からの週タイトルは、「ラーメンだ!福子!」。いよいよ長谷川博己(41)が演じる萬平がラーメン作りをスタートさせ、クライマックスに向かっていく。そこで、今こそ考えたいのが安藤サクラ(32)が演じるヒロイン、福子の存在感だ。朝ドラヒロインということを考えると、福子はかなり異例なキャラと言えるのだ。まずは1月19日の放送を振り返って考えてみよう。

 梅田銀行の人間を池田信用組合理事長に据えるという条件のもと、組合は窮地を脱する。しかし、理事長の辞任を申し出た立花萬平は組合を去ることに。福子は新居を探し、畑が作れる家を選ぶ。萬平は再出発を誓い、8年間理事長を務めた池田信用組合を後にした。立花家は新しい家に引っ越していくが、そこに悲愴感はみじんもなかった。

「出発!」と明るく声をあげる福子の姿が、実に印象的だった。思えば萬平が捕まったときも、前向きに彼と家族を支えてきたのが福子。週の終わりの「イイ場面」は福子が持っていくことが多い。ストーリーは萬平を中心に動いているが、あくまでこの物語の主人公は「奥さま」の福子であることを印象づけている。

 ヒロインが職業で成功する様子が描かれる「お仕事」ものが多い朝ドラにおいて、今回の福子のような「奥さま」ヒロインは実は希有な存在だ。近年でもっとも近いのは2014年下半期『マッサン』のエリーだろう。ニッカウヰスキー創業者をモデルにしたこの作品では、シャーロット・ケイト・フォックス(33)が夫を支えるエリーを好演し、ドラマチックな人生を描ききった。

 ちなみに17年下半期『わろてんか』は吉本興業の創業者夫婦がモデルだが、ヒロインのてん(葵わかな/20)が興行主として成長していくストーリーということもあり、「奥さま」というより「働く女性」の色が強かった。福子の姉、克子を演じている松下奈緒(33)がヒロインの10年上半期『ゲゲゲの女房』は、旦那を盛り立てる「奥さま」作品なのだが、それほど多くはない。それだけに、今回の安藤サクラが演じる、福子という安定した「奥さま」像は見事だ。

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