■「専門家が驚愕する“手首の使い方”」黒田博樹のスライダー

 黒田博樹(広島ほか・1997〜2016)。渡米後にツーシーム主体の投球にスタイルチェンジ。実戦では「現役最高」とも称されたスプリットを武器とした。だが、専門家曰く、真の“魔球”はスライダー。その独特すぎる回転は、姫野氏も「打者側に手の甲を向けるようにリリースしていて、右投手では考えられない」と評するほど。

■「ケガと引き換えに手に入れた魔球」伊藤智仁のスライダー

 伊藤智仁(ヤクルト・1993〜2001)。野村克也をして「天才」「史上最高の投手」と言わしめた全盛期ヤクルトの快速右腕。故障にも泣かされキャリアは短命だったが、ルーキーイヤーに見せた真横に曲がるその高速スライダーはもはや異次元の域。YouTubeなどの動画サイトでも当時の中継映像が400万回近く再生されるなど、いまも語り草となっている。

■「プロ野球界の“現人神”」杉下茂のフォーク

 杉下茂(中日ほか・1949〜1961)。日本初の使い手として一世を風靡した“フォークボールの神様”。当人にとっては対・川上
哲治用に解禁した「神様用のボール」だったこともあり、現役時代は握りを見せることさえ頑なに拒否。他チームの捕手が受けるオールスターでも、いっさい投げることはなかった。なお、コーチとして最初に伝授したのは板東英二だったという。

■「セ界を席巻する自称ツーシーム」山崎康晃のヤスボール

 山崎康晃(現DeNA・2015〜)。本来は打たせてとる球であるツーシームとは似て非なる「自称・ツーシーム」で三振の山を築く“小さな大魔神”。投げ方を伝授した亜大の先輩・東浜巨への敬意からツーシームと呼称するも、当の東浜は「まったく別物」と断言。「ヤスボールでいいんじゃないですか」とコメントした。今季のオールスターで披露したナックルも持ち球のひとつ。

■「阪急の黄金時代を象徴する魔球」足立光宏のシンカー

 足立光宏(阪急・1959〜1980)。肩を故障した影響で落ちた球威を補うために習得したシンカーで、3年のブランクを経て、
再びの全盛期を築き上げた阪急黄金時代のサブマリン。屈指の“シリーズ男”でもあり、歴代3位のシリーズ9勝中8勝を対巨人戦で挙げる“Gキラー”としても名を馳せた。後輩・山田久志の“宝刀”シンカーも、この足立が伝授したものが原点。

 豊富にあふれる映像や、最先端のデータ解析技術で「魔球の正体」がつまびらかにされつつある昨今。しかし、理屈は知識として頭に入れながらも、まだ見ぬ「スゴい球」への期待やロマンも忘れない。そんな野球ファンで僕らはいたい。

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