吉高由里子
吉高由里子

 6月18日に最終回を迎える『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)。先週の放送でついに諏訪巧(中丸雄一/35)から別れを言い渡されてしまったヒロインの東山結衣(吉高由里子/30)だが、やはり結衣の元婚約者、種田晃太郎(向井理/37)と復縁をしてしまうのか?

 ただ、諏訪こそがこのドラマのキーマンであり、テーマである「働き方改革」のカギを握っている。諏訪との時間がなくなることは、結衣が「定時で帰る」ことから遠ざかることであり、つまり働き方改革から遠ざかっていくことである。しかしそのぶん、種田との関係や理解は深まっていく。

 一方で種田は、定時で帰ろうとしてもできないタイプである。仕事ができて、さりげない気配りで部下のフォローもできる。とてもいい上司なのだが、それは同時に「自分のプライベートを削っても部下の尻ぬぐいをやってしまう」というブラック気質であるということだ。

 しかも6月11日放送の第9話では、弟の愁をなぐさめるつもりで「大丈夫、人間は寝なくても死なない」と言い、逆に追い詰めていたことが明かされた。そんな種田を理解しながらも仕事のつきあいと割り切り、諏訪と一緒にいることを選ぶことで、やっと結衣の「働き方改革」は成功するのだ。

 そして、なんといっても最終回のキーマンはブラック上司、福永清次(ユースケ・サンタマリア/48)だろう。平気で部下に残業を押しつけ、リーダー的資質に欠ける福永だが、「あれっ、こんな人いたよな」とも思わせられる。

 赤字覚悟でむちゃな仕事を取ってきて、部下にすべて押しつけるところは本当にいただけない。仕事を取るまでが自分の仕事としか考えず、責任を取れと言われたら大慌てする。「頑張ろうよ。仲間じゃない!」と言われても、いやいや、おまえが頑張れよと。見る人をイラっとさせる、ツッコミどころ満点のブラック上司なのだが、ユースケ・サンタマリアは「大どんでん返し」を思わせる演技をする人だ。

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