■羽生が思わず口にした“本音”とは?
支援金以上に被災地を元気づけているのが、羽生が常々口にする被災地への思いだ。
「東日本大震災からちょうど1年後に初出場した世界フィギュアで銅メダルを獲得した際には“被災地の方に元気をもらっている立場、ということを受け止められた実感で涙が出た”と話し、2014年ソチ五輪で優勝した際には“被災地のことを忘れないでほしいという思いを伝えるために、これからも滑り続けるつもりです”とコメント。
さらに2018年平昌五輪後に地元仙台で行われた祝賀パレード後には、“復興の手助けになるような行動をしていけるよう、心がけなくてはいけないと思った”と語るなど、つねに被災地への思いを口にしてきました。また、彼がケガをして久しぶりに公の前に姿を現したと思ったらチャリティーイベントだった、ということも何度もありました。それほど復興支援を大切にしているんです」(前出のスポーツライター)
時にはこんな“本音”を吐露したことも。
「ソチ五輪では、金メダルリストになったにもかかわらず“僕1人が頑張っても、直接助けになるわけではない。無力感がある”と話す場面も見られました。その言葉を聞いたときには“若い青年が、何て重いものを背負ってしまったのだ”と、正直気の毒に思うほどでした。
しかし、そうではなかった。羽生は被災地とともに歩むことで成長してきたのだと、今は結果が証明しています。『自分自身を貫く』とは羽生が大事にしている言葉ですが、そんなブレない信念、責任感や熱い思いが、羽生を一層強くし、彼のスケートを輝かせているのでしょう」(前同)
今季の初戦は9月12日からカナダで開催されるオータム・クラシック。被災地への思いを胸に、今シーズンも羽生は躍動してくれるはずだ。