佐々木朗希と奥川恭伸「巨人軍ドラフト戦略」すっぱ抜きの画像
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 片や、甲子園不出場ながら高校最速を出した右腕。片や、評価を上げ続ける甲子園準優勝投手。巨人が狙うのは!?

「速い球を投げられるということは、投手として何よりも大きな魅力であり、武器でもある。どんな投手に育っていくか楽しみだ」(ソフトバンクホークス・王貞治会長)

 王会長も注目の「令和の怪物」が8月26日、その才能を見せつけた。30日に開幕したU18W杯に出場する高校日本代表の壮行試合で、大船渡の佐々木朗希投手(17)が先発投手として大学日本代表と対戦、圧巻のピッチングを見せたのだ。甲子園に出場しなかった佐々木にとって、この日が全国デビューの晴れ舞台。たった1イニング、打者3人との対戦だったが、投げたストレートはすべて150キロ台を記録。1番打者を左飛に打ち取ると、2番、3番からは連続奪三振。

「さすがにモノが違う」 球場に押しかけた日米プロ15球団のスカウト100人も、そのピッチングに舌を巻いた。「ストレートが少しシュート回転するところが気にはなったが、指先にかかった直球は惚れ惚れする」と、試合を観戦した評論家たちも大絶賛。もともとドラフトの目玉だった佐々木が大学代表を相手にも圧倒的な力を見せ、「いったい何球団が指名に行くのか」と、関係者の間では話題になっている。

■甲子園では優勝を逃したが

 だが、スカウト陣の間では、非常に難しい判断を迫られることになりそうだというのが本音だといわれる。その理由は星稜の奥川恭伸(18)の存在だ。「甲子園では惜しくも優勝を逃したが、あの投げっぷりでスター性も増した奥川株は想像以上に高騰している」(セ・リーグのスカウト)

 奥川は、甲子園初戦で3安打9奪三振の完封勝利。3回戦では延長14回、165球を投げ、23奪三振を奪って死闘を制した。中2日で登板した準決勝では7回87球を投げ、2安打無失点の活躍。決勝で3ランを浴びるまで、防御率0という快投だった。この活躍に目をみはったのが、毎年甲子園を欠かさず見ている、ミスターこと長嶋茂雄終身名誉監督だ。「ミスターは奥川について、“春の選抜のときより、さらに良くなった”と評価していると聞きましたよ」(スポーツ紙デスク)

 各球団の間でも、現時点での投手としての完成度の高さでは奥川が上だという評価が一気に広まっているという。巨人の長谷川スカウト部長は奥川について、「150キロ台の速球を常時投げられる能力を持っている上に、マウンドで冷静に状況判断できるメンタルの強さは魅力だ」と、マスコミの質問に答える形で絶賛。また、巨人は甲子園大会中にスカウト会議を開いたが、“甲乙つけ難い”と結論を先送りにしたという話が漏れ伝わってきている。「163キロの球を投げ、能力も話題性も抜群の佐々木は当然、ドラフト1位候補として念頭にあったが、奥川の成長を目の当たりにした巨人は揺れ始めたということでは」(前出のデスク)

 巨人投手陣の現状に目を向けてみると、菅野智之(29)、山口俊(32)に続く先発の柱に欠けるというのが現実。「菅野も山口もアラサーですからね。将来を担う若手のエースは喉から手が出るほど欲しいはず。と考えると、即戦力という意味では大学日本一の明大・森下暢仁(22)という選択肢もある」(スポーツ誌ライター)

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