■これからの朝ドラは老人が第2の主役
そこで登場したのが、大阪編の大久保さん(三林京子/68)だった。喜美子を叱咤激励、厳しい姿勢でいっぱしの女中に育てあげた大久保さんは、まさに喜美子の大阪の母であり良きおばあさん役だった。と、すれば喜美子の師匠として深いつながりを持つ、イッセー尾形が演じるフカ先生はおじいさん役だろう。
そんなフカ先生を演じるイッセー尾形が、11月16日放送の『土曜スタジオパーク』(NHK)に登場した。「フカ先生はどういう人か」と問われたイッセイ尾形は「いて邪魔にならない人」と即答。けっして自己主張はしないで、まわりの人々のすべてを受け容れる。彼の名調子、「ええよ」は適当なセリフではなく、度量の大きな男だからこそのセリフであることが分かった。
愛らしさとともに包容力もたっぷりと、多面的な魅力を持つフカ先生。こんな役を演じられるのは、イッセー尾形しかいない。『なつぞら』の泰樹はそのダンディさと厳しさで視聴者の心をつかんだが、フカ先生はその愛らしさと、たまに見せるシリアスな演技のギャップで、たくさんの見どころを作ってくれるはずだ。フカ先生の「ええよ」が泰樹おんじのインパクトを超えるとき、このドラマは名作と呼ばれる作品になるだろう。(朝ドラ批評家・半澤則吉)
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※画像はNHK『スカーレット』番組公式ホームページより