■原作漫画と違う点が鍵になる?

 真犯人が原作と違うとなると、この明音の変更にも意図があると推理したくなる。明音は鈴の同級生なのだが、犯人らしき人物に軟禁されるシーンがあり、明らかに犯人につながるキーマンである可能性が高い。犯人だとは思いにくいが、なんらかのかたちで音臼小事件に関わっていたのではないだろうか。

 そして、意外と怪しいのが、心の姉である鈴だ。考えてみると、触れたくはない事件の被害者、みきおと木村に近づいた鈴の行動は理解しにくい。実は第1話でも、みきおの車椅子を押している鈴が登場している。心によって未来が変えられる前も変えられた後も、みきおに関わっているというのは意味深だ。これも、原作にはないドラマ版の設定だ。また、もし鈴が犯人ならば、心が鈴を改心させようとする、熱いクライマックスも作りやすいと思うのだが……。

 それにしても、原作と犯人を変えてくるとは驚いた。原作があるミステリードラマの場合、結末を知っている原作読者はなかなかドラマを見てくれないのだが、原作と変えてしまえば、その問題は解決する。『テセウスの船』がヒットすれば、原作を変更する“テセウススタイル”が、今後、もっと増えていくかもしれない。(ドラマライター・半澤則吉)

※画像はTBS『テセウスの船』番組公式ホームページより

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