■日本企業独特のポジション

 経済誌記者は話す。

「日本企業には独特のポジション、“相談役”や“顧問”という存在があります。企業の経営者が現役引退後に就くことが多い立場ですが、そのあり方には疑問の声も上がっていて、改革に取り組む企業も少なくありません。相談役・顧問は、法的に権限や責任がないにもかかわらず、経営に影響力を行使できる存在なんです。

 相談役や顧問は会社法とは関係のない任意の制度で、役割や報酬などの処遇が企業によってまちまち。そして開示する義務もないんです。2015年4月に不正会計問題が発覚した当時の東芝には、相談役・顧問が17人もいて、中には幹部の人事などに関与していた人もいたといいます。代表取締役社長や会長ではなく、相談役や顧問が経営方針を左右する企業もある。日本の大企業にはそういった二重権力構造が見え隠れするのですが、最近になって見直されつつあるようです

 ただフジテレビ関係者によると、日枝氏はいまだ、圧倒的な権利を有しているという話です」

 石橋と日枝氏の交流は、日枝氏がフジテレビの編成局長だった時代から始まっている。

 1988年10月にレギュラー放送がスタートした『とんねるずのみなさんのおかげです』を立ち上げ、2018年3月の番組終了までエグゼクティブプロデューサーを務め、石橋がモノマネするキャラ「ダーイシ」でもお馴染みなのが、石田弘氏だ。

 石田氏は当時を振り返ったインタビューで、石橋が当時の日枝氏のデスクに行って、「とんねるずの石橋貴明と申します! 僕たちに『火曜ワイドスペシャル』をやらせてください!」と直訴したところ、日枝氏は「視聴率20%取れるのか?」と尋ね、とんねるずが「30%取ります!」と宣言したことで番組がスタートしたと語っている。

「1988年に『とんねるずのみなさんのおかげです』がスタートし、タイトルを『みなさんのおかげでした』に変え、番組は30年にわたって続きました。その間、日枝氏は局長から会長、さらには取締役相談役に。76歳を迎えた石田氏は、現在もフジテレビの『人事局付嘱託エグゼクティブプロデューサー』という独自の役職を持ち、また、フジパシフィック音楽出版取締役も務めています」(芸能プロ関係者)

 4月から始まる『石橋、薪を焚べる』のプロデューサーは、『たいむとんねる』、そして『みなさんのおかげでした』でもプロデューサーを務めてきた人物だ。

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