■唐突に取り上げられた音臼祭が鍵か
ここで浮上するのが、まさかの“全員グル説”だ。「佐野を犯人に仕立てるのが目的」という点に着目すると、第9話でいきなり出てきた過去の事件「1977年に起きた音臼祭での食中毒」は、見逃せないポイントとなる。この事件では徳本の母が亡くなった。心はそのことから徳本を怪しんだが、徳本1人だけが犯人でなく、校長の石坂(笹野高史/71)や木村さつき(麻生祐未/56)らが、全員で佐野を犯人に仕立てようとしているのではないだろうか。
1977年の事件で、佐野は警察官としてなんらかのミスを犯した。もしくは、村人みんなに恨まれるようなことをやってしまった。それもあり、村人全員が佐野を罠にかけようと協力した。子ども時代のみきおは、そんな大人たちに利用されただけ……だとしたら、かなり怖い話ではあるが、これだけ話題になったドラマの大オチとしても納得できる。
推理小説の古典、アガサ・クリスティ原作の『オリエント急行殺人事件』など、全員が犯人という衝撃展開は過去にもあったが、『テセウスの船』にはどんなラストが待っているのだろう? 毎回、感動シーンが用意されていた家族のドラマでもあるだけに、最終回も泣ける結末が待っていることは間違いない。(ドラマライター・半澤則吉)
※画像はTBS『テセウスの船』番組公式ホームページより