■2月以降は視聴率も安定

 武志が高校生だった頃のみずみずしい演技はこれまでの伊藤健太郎ファンを喜ばせたが、白血病にかかってからは、今まであまり見られなかったせつない演技を連発。感情を押し殺したかと思うと、ときに爆発させ、さらに涙も流し、視聴者の心をわしづかみにした。

 また、病気にかかってから少しずつ痩せるなど、武志になりきった伊藤健太郎の役作りはお見事。彼の好演もあり、2月以降は視聴率20%以上を記録する日も増えた。ツイッターには「武志、ずっと元気でいてほしい」と応援する言葉が踊っていたが、ドラマ終盤は主役の戸田恵梨香を食うほどの存在感を見せていたので、それも当然だろう。

 地味といわれた『スカーレット』だが、この2人の活躍も大きく、満足度は抜群に高かった。たった15分のうちに泣いて笑ってが詰められた本作は、数年後にもふと思い出すような、名作だったといえるだろう。確かに話題性は低く視聴率は伸び悩んだが、ファンにとってこの地味さは朝ドラの原点回帰といえる、心地よい地味さだったのだ。(朝ドラ批評家・半澤則吉)

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