■川口春奈だからこそ生まれた帰蝶の恐ろしさ

 気の強いお姫様という設定は、当初、帰蝶を務めるはずだった沢尻エリカをイメージしてのことだったのだろう。クールな女王様キャラの沢尻がこのシーンを演じていたら、尾野真千子とバチバチ火花を散らす、女の戦いになったはずだ。

 確かに腹黒い女同士のドロドロしたやりとりも見てみたかったが、結果として沢尻よりも10歳近く若く、ピュアなイメージが強い川口が演じることで、帰蝶がよりミステリアスで底の知れない女性として描けたように思う。

 清楚であどけない彼女だからこそ、帰蝶の恐ろしさを見事に表現できたのだ。時代劇特有のセリフまわしも以前よりうまくなっていて、彼女が女優として一段上のステップに登ったことは間違いない。これまではアイドルのような位置づけでかわいいヒロインを担当することが多かった川口だが、本作でかわいいだけではない、さまざまな女性を演じられることを証明してみせたのだ。

 エリカ様の代役だったのもはや過去の話。『麒麟がくる』は現在ロケを中断しているが、川口春奈の活躍を受けて、ぜひ帰蝶の登場シーンを増やしてもらいたいものだ。(ドラマライター・半澤則吉)

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