■最近まで封印作品だったノリダー

『仮面ノリダー』は非常に人気の高い作品だった反面、ライダーの制作会社である東映や毎日放送(当時の放送局はテレビ朝日系ではなかった)などに無許可で放送された作品だったために、本家から抗議を受けてソフト化が禁じられていた。

「原作者の石ノ森章太郎先生にも好評だったんですが、1988年当時放送していた『仮面ライダーBLACK RX』を担当していた吉川進プロデューサーは、“パロディとヒーローは相容れない”と、非常に難色を示していました。クオリティは別として、“ふざけたパロディ”が本家以上に人気だったのも要因の1つと言われています。

 その後、97年にスペシャルが放送されてからは地上波から姿を消し、2013年に東映が『仮面ノリダー』を商標登録して以降、しばらくノリダーは封印状態でした。

 しかし、昨年2019年から、風向きが変わったんですよ」(特撮雑誌記者)

 2019年に“平成の終わり”を記念して作られた『仮面ライダージオウ』(テレビ朝日系)の劇場版『Over Quartzer』に、木梨憲武演じる“木梨猛”が登場し、劇場は大いに沸いた。

「令和への改元を受けて、“平成ライダー完結編”として作られた記念作に、変身前のノリダーが登場したんです。事前情報一切なしの、サプライズ出演でした。

“昭和の時代、悪と戦ったがライダーに認められなかった男”として、主人公に“偽物でも、お前はライダーに選ばれたんだ!”と活を入れる、非常においしい役どころでした。口調は大げさに初代ライダーを意識したギャグ調のものでしたが、セリフそのものは“これを言えるのはノリダーしかいないよな”“説得力が半端ない”と視聴者にも好評でした。

 エンドクレジットでも、

“in memory of a legendary Kamen hero”

 とつづられていて、“仮面ライダーではないが、ヒーローだった”という東映からのメッセージが見られました」(前同)

 ノリダーの映画起用について東映の白倉伸一郎プロデューサーは、

“(ライダーの)放送が途絶えた平成初期の少年たちは、ノリダーを通じて仮面ライダー的なるものを知ったのが事実です。その事実をきちんと平成ライダー史に刻もう、みたいなことです”

 と今年1月にツイッターで起用の理由を明かしている。

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