■悩み続けた本木雅弘

 本木はとにかく自分の演技への理想が高いため何回もリテイクを申し出ることがあり、「本当に申し訳ない」と、長谷川博己と伊藤英明に謝まるシーンもあった。「演じきれたかというと、難しいところはありました」とも言い、道三という役を思うようにできないと葛藤し続ける本木雅弘の姿が、実に印象的だった。

 “怪演”と話題になった本木の道三は、彼にとって納得いくものではなかったのかもしれない。しかし彼は「10年後にまた斎藤道三ができたら」とコメントし、番組の公式ツイッターに投稿した動画では「無事にマムシがマムシのようにくたばることができました」と達成感をにじませていた。今やれることはやったうえで、理想の道三像はまだこの先にあると考えているのだろう。

 俳優、本木雅弘が新境地を見つけようと探り続けた道三。彼こそ『麒麟がくる』前半の主役であり、物語を引っ張っていたことは間違いない。ふだん、主役を張ることが多い本木がが今回のような脇役かつ悪役でこれだけの存在感を放つとは流石の一言だった。道三を経て本木はどんなものをつかんだのだろう。これからの俳優・本木雅弘からいよいよ目が離せない。(ドラマライター・半澤則吉)

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