さて、今回、私が会いに行ったのはシンガーソングライターで、“神社巡拝家”でもある佐々木優太さん。佐々木さんはギターとハーモニカを使って、青春時代の夢や悩みを弾き語りで聞かせるミュージシャンである一方、なんと、これまでに１万社以上の神社を巡拝。４０００社以上の御朱印も収集されているんです。変わった経歴から、ただならぬオーラを感じた私はさっそく、対談を申し込みました。本当は直接お会いしたかったんですが、このご時世なので、リモートでお話をさせてもらいました。
ゆま「やっぱり最初にお聞きしたいのは、どうして神社巡りを始めたんですか？」
佐々木「えっと、キッカケを話すと少し長くなるんですが……まず、僕は２０歳のとき、音楽をやりたくて、上京してきたんです。所持金３万５０００円と、ギターとハーモニカを持って」
ゆま「おお、格好いいです。まさに佐々木さんの歌に出てくる世界ですね」
佐々木「ありがとうございます。それこそ四畳半の狭いアパートに住みながら、路上やライブハウスで歌っていたんです。まあ、鳴かず飛ばず……というどころか、ライブをやっても、お客さんは一人も来ない（笑）」
ゆま「今ではＣＤもたくさん出されているのに……」
佐々木「で、音楽では食べていけないので、イベントのディレクターの仕事などをして、食いつないでいました。ただ、自分の中で“音楽をやりたいのか、金が欲しいのか”、そんな葛藤もずっとあったんですね」
ゆま「その頃は、まだ神社に興味はなかったんですか？」
佐々木「ええ。神社と寺の違いも分からないほどでした。それが２５歳のときに、アパートで寝ていたら、急に深夜２時頃、ハッと目が覚めて、布団の上に立ち上がっていたんです」
ゆま「え？ ちょっと怖い。天井が光って、なんか“お告げ”があったとか!?」
佐々木「いえ（笑）。ただ、なぜか“伊勢神宮に行かなきゃ”と思ったんです」
ゆま「……え？」
佐々木「アハハ。まあ、僕はちょっと、子どもの頃から変わっているところがあったみたいで。バイクを持っていたので、そのままバイクに乗って、東京から伊勢神宮に向かったんです」
ゆま「あのぉ……血液型は？」
佐々木「いやいや、血液型は関係ないですって（笑）。そんなので区別したら、世の中、４タイプの人間しかいなくなるじゃないですか。ちなみに、Ｂ型です」
ゆま「やっぱり（笑）。行動力がスゴイですもん。それでお参りされて、いいことがあったんですね！」
佐々木「伊勢神宮を参拝したおかげで、急に歌が売れて、何かに目覚めました……なんてことは、まったくなかったです。でも、まあ、せっかく伊勢まで来たから、ちょっとバイクで、あちこち見て回ろうかと……。とにかく当時は暇だったんですね（笑）」
ゆま「めちゃくちゃマイペースですね。さすがＢ……いえ、なんでもないです」
佐々木「気づくと、大阪の南港に着いていました。目の前にフェリー乗り場があったので、どこに行くのかも知らず、とりあえず乗ってみたんです。バイクごと」
ゆま「すごい！ まるで尾崎豊の世界ですね。ありましたよね……ほら、盗難したバイクで走るとか」
佐々木「いやいやいや（笑）。バイクは盗んでない。僕のモノです。バイクで、フェリーに乗っただけです」
ゆま「あ……そっか」
佐々木「フェリーの切符も買っていなかったので、切符を買いに行ったついでに、“これはどこに行くの？”と聞いたら、宮崎県でした」
ゆま「九州じゃないですか！ 東京から、どんどん離れていますよ！」
佐々木「まあ、暇だったので。知り合いに宮崎出身の人がいて、その人が以前、宮崎といえば“高千穂”と話していたことを思い出したんです。とりあえず行ってみたら、高千穂は“日本の神話のスタート地点”だということを知ったんですね。神話で神様が最初に地上に降り立った場所だと。それを知って、“神社って面白い”と思ったのが、最初のキッカケでしたね」
