菅田将暉『MIU404』野木亜紀子脚本で際立つ“時代の申し子”としての存在感の画像
菅田将暉

MIU404』(TBS系)がついに最終回を迎える。8月28日に放送された第10話では、都内で立て続けに爆発が起こったというフェイクニュースに振り回され、伊吹(綾野剛/38)と志摩(星野源/39)が、あ然とするシーンで終わった。

 得意げに特ダネを握った“つもり”でいたナウチューバ―のREC(渡邊圭祐/26)が、逆に乗っ取られていたことが分かるシーンは、ネットの情報が「諸刃の剣」であることをうまくあらわしていて、ゾッとした人も多かったのではなかろうか。渡邊圭祐がその端正な顔立ちを凍らせ、ものすごい緊張感と哀れさが混在した、名シーンとなった。

 そして、謎の男・久住を演じる菅田将暉! 彼から見えるのは、狂気ではなく、日常。だからより怖い。誰の隣にもいそうだ。2019年『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で、命を賭けてSNSの怖さを訴えた教師・柊役を演じていた菅田が、今回は世の中をかく乱させ、恐怖に陥れる側。どちらを演じても、現代の「ディスプレイを挟んだ世界」の危うさをリアルに訴えてくる。その存在感は、時代の申し子であると感心した。

 それとは逆に、最もネットやSNSから遠い存在であるのが、橋本じゅん(56)演じる陣馬。いわば「時代遅れ」な彼が、フェイク動画に惑わされず、ドラッグであるドーナツEPを生産する工場にたどり着くというのが皮肉めいていて面白い。

 いやもう、全体に脚本・野木亜紀子の、ストーリー・キャラクター構成のうまさに舌を巻く。『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』(すべてTBS系)と、立て続けに大ヒットを飛ばしている野木。その一番の理由は、主人公を支える人たちに、役割と人生を当てるのが本当にうまいからだと思う。キャラが立っているのに主人公をけして食うことはない。中心の軸はぶれず、それぞれが最高の役割を果たし、1つの世界としてしっかり回っている感じなのだ。

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