■『テセウスの船』と同じパターンか

 そして、一見、突飛なようだが、にわかに注目を浴びている黒幕候補がいる。それが半沢たちが通う小料理屋の女将、智美(井川遥/44)だ。「井川遥は誰かの愛人?」「今のところ、智美が一番の黒幕のように見えるのだが」「井川遥黒幕説あるぞ」と、智美を怪しむつぶやきも散見されている。

 智美は池井戸潤(57)の原作小説には登場しない、ドラマオリジナルのキャラだが、第7話で一気にミステリアスな存在になった。彼女が元銀行員で、かつて中野渡の部下だったという過去が明かされたのだ。さらに第8話の予告では、誰かの墓前に手を合わせる智美の姿も映し出されていた。中野渡との関係は? 大切な人を失った過去が? 分からないことだらけで、瞬く間に智美が物語の最重要人物に浮上した。

 第1シリーズでは半沢の大和田に対する“過去”の因縁が、物語終盤を盛り上げる原動力となった。本作も“過去”に秘められた因縁が、ストーリーに影響を与えることは確実だろう。紀本や中野渡よりも、今後、注目すべきは智美かもしれない。

 竹内涼真(27)主演でヒットした、同じ日曜劇場の『テセウスの船』は、マンガ原作とドラマ版の犯人が違うということで考察が過熱し、人気を高めた。この成功例があるだけに『半沢直樹』も原作小説とは違う結末となってもおかしくない。オリジナルキャラの智美が、実は黒幕だったという、まさかのラストも大いにありえるのだ。(ドラマライター・半澤則吉)

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