■演技へのこだわりに見る「正義感」

 前項で、上野さんが「憑依型」の女優さんであると述べた通り、彼女は演技に対して強いこだわりを持っています。

 あまりに役柄に感情移入するため、スタッフの勧める演技プランに納得がいかず、撮影を中断することもあったのだそう。映画『虹の女神』に出演した際、岩井俊二監督に対して熱い演技論をぶつける場面もあったのだとか。

 彼女のこだわりは、役柄に真摯に向き合おうとする誠実さからくるものなのでしょう。それは、彼女の正義感を表すもの。

 しかし、正義感を押し通そうとすると、他との衝突が増えてきます。どこかで折り合いをつけなければいけないものの、その妥協点が見出せない。そんな融通の利かない不器用な姿に、男は惹かれるのです。

 彼女が演技へのこだわりを見せるほど、男たちは自分が支えてあげなければいけないという意識を掻き立てられるのです。

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