■皆、ジャニー氏を慕っている
退所ジャニーズを約10年ほど振り返ると、2010年に元KAT-TUNの赤西仁が退所したあとに'13年の田中聖、'16年の田口淳之介が続いた。そして元Hey!Say!JUMPの森本龍太郎が、'11年の未成年喫煙による無期限謹慎ののち'14年に退所。'16年には、SMAP解散にともない稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人が、'18年には山口達也、そして同年の年末に今井翼と関ジャニ∞の渋谷すばるがそれぞれ退所している。
'19年7月のジャニー喜多川社長の死去後には、同年9月に錦戸亮、今年3月31日の中居正広、6月19日に手越祐也が退所した。
退所の理由は、自分が目指す活動のためや不祥事によるものもあった。その後の活躍については、順調な人もいればそうでない人も、さらには逮捕者まで出るなど、さまざまだ。
「いろいろやらかした挙句に辞めた手越は別として、今年に入ってからの中居、長瀬、少年隊の2人は、ジャニーさんが亡くなったこと、さらには姉のメリーさんの会長退任も加わり、自分の中での一区切りをつけての退所となったのではないでしょうか」
と、あるテレビ誌記者は言う。ジャニーさんが生前、所属タレントを自分の子どものように思い、ときには厳しく、愛情を注いできたことは周知の事実。退所したタレントでジャニーさんを悪くいう声はほとんど聞こえてこない。
「悪口どころか、みな一様に声をそろえて感謝の言葉を寄せています。中居正広も、誰よりもジャニーズ、ジャニーさんへの愛が強かったから『新しい地図』と同じタイミングで退所するのではなく、今年の春まで活動を続けたのでしょう。新しい世界に飛び出すにしても“ジャニーさんがいるうちは”という気持ちの人は少なくなかったと思います」(同前)
ジャニーさんの存在という求心力を失ったことが、退所ラッシュの大きな要因のひとつだということだ。
現在、ベテランジャニーズの退所が相次いでいる。ジャニーズには近藤真彦、東山紀之、木村拓哉という幹部級の面々が残っているが、今後、人気グループの退所を食い止めることはできるのだろうか。
「ジャニーさんがいなくなり、ジュリー社長や滝沢秀明副社長には残る義理立がないという人もいれば、しがらみとは関係なく今後はシンプルに活動したい人、またTOKIOのように子会社や関連企業という形で独立や退所していく人は出てくるでしょう。謹慎中の山下智久も海外へ視野を広めていますから、ここで活動を控えるなら、いっそのこと外に飛び出す、という決断もあるかもしれません。
同時に先輩たちの姿を見て、この先もジャニーズに残ると心に決めた人もいるはずです。嵐の活動休止が発表されて以降、キンプリやSixTONES、Snow Manと、若手グループの活躍が目立つようになり、この先は世代交代が一気に進む流れになるかもしれませんね」
ジュリー社長と滝沢副社長の求心力が試されているところかもしれない。
〈取材・文/渋谷恭太郎〉