■悲劇がもたらす「影」

 モーニング娘。に13歳で加入した彼女は、一気にトップアイドルにのぼりつめ、現在35歳。取り巻く環境はとかく慌ただしく、波乱に満ちた人生を歩んでいます。

 最初に悲劇が訪れたのは、彼女がまだデビューする前、小学5年生のとき。父親が会社の同僚と出かけたロッククライミングで、足を踏み外し転落死。女手ひとつで育ててくれた母親も、のちに自宅のベランダから足を滑らせて事故死しています。

 一時期、『EE JUMP』の一員として芸能活動していた弟は、窃盗や暴行容疑で逮捕。

 こうした不幸に見舞われることで、彼女は負のオーラをまとっていきます。ステージ上の華やかな印象とは裏腹に、内に陰を宿すのです。

 しかし、暗い背景があるからこそ、強い輝きを放つことができる。漂う悲壮感を振り払うように、パフォーマンスも一層力強く躍動感に満ちたものになります。そして放たれる眩い光に、男たちは夏の虫のように吸い寄せられていきます。

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