■福士蒼汰の良さが消されるキャラ
さらに福士の持つトロリとした低い声。すごく雅で風流で、大好きな声な役者の1人である。が、滑舌は良いとはいえない。このドラマでは、本音を隠しながらボソボソと呟く役柄ゆえ、「風流」が活かされず、滑舌の悪さばかりが前に出てしまっているのも、残念なポイントだ。
『DIVER』がふるわなかった原因としてもう1つ。時期もあると思う。私自身、コロナ禍の疲れを引きずっている今、リアルに自分の身にも振りかかりそうな事件を、よりダークに見せてくるドラマに感情移入する心の余裕がまだない。それでもまだD班全員が仲の良い設定なら良かったが、影の仕置き人が影でもギスギス気味なので、見ていて気が休まらないのだ。
野村周平とのバディも化学変化を起こす間がないまま、もう最終回。が、予告を見ると、これまでの「??」が一気に回収される“謎解け回”になるようなので、見届けたい。
福士は、来年1月期放送のテレビ東京系ドラマ『神様のカルテ』(放送日未定)に主演することが発表された。こちらでは、あの風流な声色が活きる気がする。楽しみだ。(田中稲)