■東京でも食べられる

 自社焙煎のコーヒーを練り込んだ、モカソフトはすでにこの地で50年以上も親しまれている。ミカド珈琲商会はそもそも、1948年に日本橋室町でコーヒーおよび喫茶材料の小売店として創業した。目先が早くて1952年には、現在の軽井沢旧道店とは60mほど離れた別の場所で喫茶店を開業。当時は夏季のみの営業であった。63年には同様に看板のコーヒーゼリー・チーズケーキの販売を開始。69年になってモカソフトを売り始める。そして、73年からはゴールデンウィークも営業するようになり、81年には旧道店を現在地に移転。95年からは通年営業とした。

 旧軽井沢銀座にある店の大半は今も冬場は占めている。それだけ寒さが厳しいのだ。水道の保全に手間隙もかかり、休業期間明けには修繕の必要も生じる。そこでミカド珈琲も通年で開ける選択をした。と同時に97年には日本橋本店を建て替え、99年に渋谷店・横浜元町店、2000年に軽井沢プリンスショッピングプラザ店、02年には鎌倉店を開設と、モカソフトも首都圏一帯で食べられるようにはなった。

 ただ、やはり本場で食べるとなると格別だ。本来はモカソフトを片手に旧軽銀座をギンブラするのがオツ。しかし、杉原・西山の2人もさすがに暖かい店内で味わっていた。「おいしい。香りはコーヒーだが、シェイクにも煮た甘さが来る」などと口々に、さらに盛り上がる。

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