■独特の空気感と間の取り方がとにかく絶妙

 長男・和輝の家族に対する愛情をよく表していたのが、安達家の朝食シーン。和気あいあいで食卓を囲んだ時に、テレビから交通死亡事故のニュースが流れてくる。笑顔が消えてテレビを見いる、姉ちゃん・子(有村架純)にすぐ気付いて、リモコンをサッと掴んで電源を消す和輝。

 桃子が、静かに優しく「ありがと」と言うが、和輝は含みある表情でただ小さく頷いた。雰囲気を壊さないように配慮しただろう、そのさり気ない仕草がとんでもなく自然で優しさに溢れていた。この含みのある間の取り方が、高橋が持つ穏やかな雰囲気と独特な空気感にマッチしていたのが印象的だった。

 そして、ドラマのナレーションは、この長男・和輝が担当する。

「今、この星に暮らす僕らは、みんな深い傷を負ってしまっていて、誰かと繋がることに臆病になっているのかもしれない。でも、きっと僕らには素敵なことが待っている。そう信じて生きていないとダメだよね。そうだよね、姉ちゃん」

 これは、桃子が夜道を一人自転車を押しながら帰宅するシーンのナレーションだが、その声が、あったかくて、優しい気持ちに溢れていて、なんだか泣きそうになってしまった。

 ナレーション初挑戦ということだが、声で芝居をする難しさも感じているだろう。しかし、芝居を超えた部分、やわらかさや聞き心地のよさは抜群だ。脚本家・岡田惠和氏の想いや、視聴者の共感性を高めるようなメッセージ性の強い言葉を伝える重要な役割になるだろう。2話以降の活躍が楽しみである。(文・青石 爽)

『姉ちゃんの恋人』は、2019年に紫綬褒章を受章した脚本家・岡田惠和氏によるオリジナルのラブ&ホームコメディードラマ。安達桃子(有村架純)は高校3年生の大学受験の日に両親を事故で亡くしたことで進学を断念してホームセンターに就職した。年の離れた3人の弟たちを立派に育てるため、一生懸命に日々を過ごしている一家の大黒柱。長男・和輝(高橋海人)は農学部に通う大学生、次男は高校生、三男は中学生、全員明るくて仲良の良い家族だ。そんな桃子が職場で出会った吉岡真人(林遣都)に恋をすることで、家族や職場、友人たちを巻き込んでいく。

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