■中村蒼は無骨な個性を発揮
物語前半から主人公の裕一を叱咤激励し続けた大将こと鉄男は、優しさと強さに満ちた、芯の強い男でファン人気も高い。ツイッターにも「鉄男ラブ」「推しは鉄男です」といった鉄男ファンからのコメントがあふれているが、「いつにも増して中村蒼さんみ強い。鉄男好きだったなあ」「鉄男の人物像が中村蒼さんの中にしっかりとあったんだろうな、鉄男が中村蒼さんでよかった」というコメントもあり、まさにハマり役だったようだ。
中村は今年ちょうど30歳。三十路を迎え、その芝居に脂が乗ってきており、『エール』をステップに実力派俳優としての階段を一気に駆けあがりそうだ。
気弱な裕一とバイタリティあふれるその妻、音という個性的なコンビを軸に置いた『エール』だったが、そのことで浮ついた感じがしなかったのは、華や鉄男といった人間味あふれる脇役がしっかり物語を支えていたからだ。古川琴音と中村蒼、俳優2人の今後の活躍に期待したい。