いま日本を代表する女性アイドルグループに目を向けてみると意外にも「選抜制度」というシステムをとるグループは減少傾向にある。AKB48の代名詞である選抜総選挙も2018年の開催から2年連続で行なわれておらず、今後も行なわれるかは分からない状況。そもそもアイドルにとって選抜制度って必要なのか? 様々な女性アイドルグループを例に出し、徹底的に考えてみよう。
アイドルにおける選抜制度とは何か? それを論じるにあたって、まずは簡単にグループアイドルの歴史を振り返りたい。そもそもアイドルはひとりの活動が基本で、多くても2、3人。それを大きく変えたのは1985年に誕生したおニャン子クラブ。放課後のクラブ活動のような体裁をとり10数人で活動し、人気アイドルグループとなった。
その後、東京パフォーマンスドールや桜っ子クラブなど複数名で活動するグループが次々と生まれ、一大ムーブメントを巻き起こしたのが1997年に誕生したモーニング娘。だ。10数人のグループであれば、全員で一緒に活動できる。ポジション争いはあっても、グループに加入さえできれば、大きな差が生じることはない。 ではそれ以上に増えたらどうなるのか?
選抜制度はメンバーが切磋琢磨し、個々の成長が促される一方で、メンバー同士の関係がギスギスしてしまう。選抜と非選抜の格差が大きくなるなどのデメリットもある。以前に指原莉乃は「選抜制度は箱推しが減る」とコメントしていた。確かにメンバー同士がバチバチして、仲のよくないグループは応援しづらい。
ずっと選抜制度を取ってきたAKB48グループだが、昨年、NGT48がリリースした『シャーベットピンク』は30名全員が、今年2月にSKE48がリリースする『恋落ちフラグ』は69名全員が参加するシングルとなった。NGT48は騒動以来初のシングル。SKE48はデビューよりセンターを務めた松井珠理奈の卒業シングル。グループにとって転換点となる大事な時期、個々の力を結集するために全員選抜という形をとっていると思われる。
アイドルの選抜制度について、シングル曲を軸に考えてみたが、ほかにもテレビ番組に選ばれるメンバー、取材に選ばれるメンバーなど、グループアイドルは常に選ばれるものだ。言うならファンも推しメンを選んでいる。選ばれるには選ぶ側が思わず目を引くような光るものがなくてはいけない、それはもとから持っているものかもしれないし、自分で新たに見付けるものかもしれない。選ばれるために努力を惜しまないアイドルたちに幸多かれ!
(EX大衆2021年2月号「アイドルにとって選抜とは何かを考える」関根弘康)取材・文●関根弘康
「アイドルにとって選抜とは何かを考える」
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