中条あやみ
中条あやみ

テレビの中の女たちvol.44中条あやみ

 事あるごとに「ギャップ」を持ち出すのは違和感もあるけれど、芸能人の人気の背景に「ギャップ」を見出す言説は数多い。チャラそうに見えて実は真面目とか、キッチリしてそうに見えて実は天然なところがあるとか。

 そういう「ギャップ」はありきたりなステレオタイプを逃れるように見えて実はステレオタイプだったりして(何人いるんだ「実は真面目」キャラ)、できるだけ避けたいとは思いつつも、私自身、芸能人に対してそういう書き方をついついしてしまう。書くほうにとっても書きやすいのだ。

 ただ、リアルな人間関係の中で「実は私はチャラそうに見えて真面目なんです」と自ら「ギャップ」を語る人がいたら、よほど深い関係性でない限り「知らんがな」という反応になるのではないか。他人が誰かを評して言う場合でも、「あの人は実は○○」といった言い方はたいてい陰口のはずだ。

 では、なぜ芸能人の「ギャップ」語りが楽しまれるのかというと、それを許す特別な何かがあるからだろう。若手俳優の場合、その「特別な何か」はキレイとかかわいいとかカッコいいとか、そういうビジュアル面である場合が多いのではないか。キレイなのにそれに似合わないちょっとだらしない部分があるみたいなのは、親しみやすさにもつながる。

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