■盤石のベテラン・北大路欣也
イッセー尾形の穏やかな笑顔と語り口調は、いつまでも見ていられる。最後のほうには、イッセー尾形が出てくるだけで泣く、というパブロフの犬状態になっていた。
北大路欣也は、もはや安定。画面に姿が映るだけで素晴らしい。昨年の『半沢直樹』(TBS系)といい、今年の大河ドラマ『青天を衝け』といい、超名作に必ず北大路欣也の姿あり。今、日本で一番ドラマを格上げするベテラン俳優ではなかろうか。
とにかく、盛り上がりが少ないシーンではスマホをいじる……という「ながら見」ができず、約2時間、コタツに手を入れながら、ひたすらじっと画面を追った。そして、何度も視界が涙でぼやけてしまった。
映画やドラマのありがたい点は、自分と関わりが少ない世界、業界での出来事も、映像になることでグッと身近に思えること。『神様のカルテ』は、言葉づかいの丁寧さも加わり、医師の本音、大切な人を失う悲しさが静かに強く心に沁みていく。第3話も楽しみだ。(田中稲)