19年に発覚した不倫の相手(元恋人)も一般人で、密会場所はアパホテルという念の入れよう。恋愛だって庶民感覚のままなのだ。13年に母が事故死して以来(父は山で滑落死している)、ゴマキ家は二人の姉、上の弟とそれぞれの一家が同居する大所帯で、月に2回は江戸川を渡って千葉まで渡り、激安スーパーに通い詰めるほど、倹約主婦ぶりを発揮しているという。

■昭和の洋食の確かな美味しさがここに

 ところで、ビッグシェフはぼくにも馴染み深い店だ。本社は大塚にあって、チルドドレッシングのメーカーとしても知られている。今はお台場と瑞江、そして藤沢(現店名レストラン ヒデ ダイニング)にしか店がないが、かつては池袋や渋谷や目黒にもあって、よくランチで利用した。たまにグループで出かけ、居酒屋使いをすることもあった。

 ゴマキも「ザ・洋食屋」と評するように、同店はいわばファミレスの草分けながら、味はより正統派だった。都下や都外だと、町田や新浦安や越谷の店もとうにない。また、そごう川口店内にもあったが、今年2月末、同店の閉店で運命を共にした。

 渋谷店は17年に閉じたが、たまたま直前か直後に店の前を通りかかり、告知の貼り紙がしてあったので把握していた。目黒店は人出不足を理由に18年、池袋店は19年に閉じたのだが、まったく意識しておらず、ゴマキのおかげで知る由となった。

 緑の縁に赤い大文字で「BIG CHEF」と書かれた、店名ロゴには郷愁以上の力強さを感じる。ファミレスに席巻される前の、昭和の洋食の確かなおいしさがビッグシェフにはこだましていた。休日にたまに家族で訪れるというゴマキ。

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