■プライベートと仕事は?

――プライベートと仕事で志村さんは違いましたか?

 そんなこともなくて、やりやすかったです。飲み友達だったので、志村さんが黙っている時間も怖くなかったんですけど、その雰囲気が得意じゃない人には厳しい現場だったのかもしれません。収録中のアドリブも一緒に飲んでいる時の会話の延長でした。

――川上さんから見て、優香さんのコメディ演技はどうでした?

 娘役として新人の優香さんが入ってこられたんですけど、最初から勘がよかったです。いつも自然体だったので、現場にもすぐに馴染んでいましたね。

――志村さんから優香さんに厳しく指導することはありましたか?

 優香さんに限らず厳しく言うことはなかったですね。たまに男性の役者さんに「いまのは嘘っぽいよね」とドキッとするようなことはおっしゃってました。小手先で笑いをとるようなことが嫌いだったんでしょうね。

――例えば「酔っぱらう」にしても、その奥にある心情を表現しようとしていたそうですが。

 酔っぱらって転ぶという典型的なお芝居にしても、「『そこまで飲んでしまう理由はなんだったのか』という背景を考えながら演じないと笑いにつながらない」という話をされたことはよく覚えてます。一緒に飲んでいると、お芝居について饒舌に語ってくれるんです。

――志村さんはファミリーを作っていましたが、その関係性が笑いの重要な要素になっていたと思います。

 そうですね。当時はプライベートでも気が合う人じゃないと、一緒に仕事をしない方でしたから。初対面でスッと入れるようなタイプではなかったと思います。

――『志村X』以降の番組では、基本的に前半は家族コントが恒例となっていました。そこにこだわりは感じましたか?

 自分の家庭を持たなかったからこそ、家庭に対する憧れがあったと思うんです。その反面、孤独じゃなきゃいられなかった。ものすごく寂しがり屋だけど、ひとりでいたいという矛盾した感情を抱えていたんだと思います。

――川上さんはビートたけしさんとも仕事をされていますが、2人に共通する部分を感じますか?

 シャイで人の目をグッと見てしゃべることができないところとか、すごく似ていると思います。たけしさんは『その男、凶暴につき』の時、対面していながらスタッフの方を通して演出されましたから。ある日、麻布のバーに行ったら志村さんがいたのでご挨拶したら、隣にいるのがたけしさんで驚きました。2人で小さな鍋のチーズフォンデュをつまみに飲んでいたことが記憶に残ってます。

――志村さんは亡くなりましたが、昨年放送された朝ドラ『エール』に出演され、山田洋次監督の『キネマの神様』も控えていました。

 もっと志村さんの違う顔を見ることができたと思いますし、私もドラマや映画で共演したかったです。ただ、まだ志村さんがいなくなったことを実感できていない自分もいます。

PROFILE 川上麻衣子 かわかみまいこ。1966年、スウェーデン生まれ。1980年、NHK人間模様『絆』で、デビュー。『3年B組金八先生』(80年)や『その男凶暴につき』(89年)など多数の作品に出演。近年はガラス工芸デザイナーとしても活動。東京の谷中にてスウェーデン雑貨「SWEDEN GRACE」経営。

(EX大衆2021年4月号「志村けんと女性たち」川上麻衣子)文●大貫真之介

「志村けんと女性たち」

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