最近ではテレビやライブで『帰り道は遠回りしたくなる』を披露する際には遠藤がセンターに立つことが増えており、2021年2月に開催された「9th YEAR BIRTHDAY LIVE」でセンターを務めたのも遠藤だった。

 遠藤のしなやかなダンスをこなすスタイルに加え細やかな表情の機敏がなんとも絶妙で、原曲を踏襲しつつ彼女にしか出せない情調が生まれており一挙手一投足に惹きつけられる。

 ところで、遠藤は普段からメディアでも積極的に発言することは少なく、自らガツガツ行くタイプではない。このような恥ずかしがり屋で控えめな印象がある一方で、映像やパフォーマンスにおける彼女の振る舞いは女優・遠藤さくらとして完成されているのだから恐ろしい。

 23thシングル『Sing Out!』に収録された個人PV『わたしには、なにもない』では遠藤の他を寄せ付けない透明感と今にも溶け出してしまいそうな儚い魅力が映し出されており、遠藤の表現力が唯一無二であることを強く印象づけた。

 その類まれなる表現力はドラマ『サムのこと』(dTV)や『ボーダレス』(ひかりTV)でも感じたことで、映像のなかの遠藤=表現者としての遠藤は普段の彼女を知っている方ならなおさら、そのギャップに惹きつけられる。それはまるでアイドルと女優の狭間に存在しているかのようなのだ。

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